先端に集中荷重が作用する片持ち梁の最適形状は?

構造解析初学者のためのエッセンスシリーズ第2回

Altairでインターンをしています、修士2年の石元と申します。
第2回は材料力学で学習する曲げ応力の知識を交えながら、片持ち梁の最適形状を考えます。その後、適当なモデルを用いてOptiStructで最適化を実施してみます。

第1回:単純支持梁と両端固定梁で考える拘束条件の重要性の記事はこちら

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1. 片持ち梁の曲げ応力と曲げモーメント図

図1(a)のように先端に集中荷重が作用する片持ち梁の応力状態を考えます。図1(b)のように梁の下側には圧縮、上側は引張の曲げ応力が作用し、曲げ応力は中立軸からの距離が大きいほど大きくなります。したがって、中立軸からの距離に応じて材料を配置したH形のような断面が有利だと考えられます。建材としてH形鋼がよく使われているのも、断面性能が優れていることが理由の1つです。
また、BMDは図1(b)のようになります。したがって、曲げ応力は固定端に近いほど応力が大きくなることがわかります。図2の静解析の結果のコンター図をご覧いただきますとイメージしやすいと思います。
これより、最適な形状として、断面はH形、先端近くは材料を減らして先細の形状がイメージできます。


図1 先端に集中荷重が作用する片持ち梁


図 2 片持ち梁の応力コンター図

2.形状最適化

前項の検討について、実際に最適化を実施し、どのような形状になるかを確かめます。最適化の条件は以下のとおりです。
最適化条件

図 3 最適化条件

最適化の条件は制約関数を体積50%以下、目的関数をコンプライアンス最小化とし、フリー形状最適化を行います。コンプライアンス最小化によって、構造物の剛性が最大化されます。

最適化結果
図 4 最適化結果

予想したようなH形断面に近く、先細の形状が得られました。
以下に解析の手順を音声解説付きの動画で示します。初めての形状最適化の練習として、Altair Student Editionをインストールしてぜひ取り組んでみてください。

<解析の手順>

 

3. 最後に

今回は片持ち梁の最適形状を考え、OptiStructで計算してみました。最近は様々な最適化を実施できる便利なソフトが登場していますが、最適化の種類や手順、設定次第で得られる結果は大きく変わります。根拠を持った解析を行えるように、どのような形状が最適なのかを基礎に立ち返って考えることも重要だと思います。

第1回:単純支持梁と両端固定梁で考える拘束条件の重要性 << >> 第3回:エラーへの対処法と解析結果のチェックポイント

 

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