要素の次数を変えると変位や計算時間が変わる

はじめまして、アルテアでインターンとして働いている大学院修士1年の阿部です。

CAE初心者でしたがインターンを始めて3ヶ月が経ちました。様々なことを学んだ中から今回は、Altair OptiStructで解析を行う際に躓いた点や、要素の次数が結果に与える影響をお伝えしたいと思います。

解析対象は、オフィスを見渡した時に最初に目に留まったジャケットなどをかけるハンガーにしました。ハンガーのCADモデルを入手し、HyperMeshのautomesh機能でシェル要素を作成後、境界条件は図1のように、ハンガーをかけるフック上部の節点を完全拘束、少し重めのコートをかけたことを想定して、肩部分の表面全体にmagnitude=1の圧力荷重を定義しました。

FirsOptiStruct_01

図1 洋服ハンガーのモデルに解析条件を設定

 OptiStructで解析すると、図2のような解析結果になってしまいました。

FirsOptiStruct_02

図2 解析結果…(失敗)

 調べてみると、ジオメトリの共有化を忘れていたため、ハンガー両肩のメッシュパターンが合ってないことが原因と分かりました。そこで、フック、ハンガーの肩、バーの3つのコンポーネントを分け、Contact BrowserのAutoContact機能を用いて3部品に固着定義を行い、ハンガーが分解するのを防ぐことにしました。

再度解析を行うと、図3のように無事成功しました。

FirsOptiStruct_03

図3 ミーゼス応力のコンター図(成功)

図を見ると、ハンガーフック部に応力が集中していることがわかります。直感的なイメージでハンガーフック部とハンガーの肩のつなぎ目部分に応力集中が起きると予想していましたが、実際には、そこと拘束点の間の曲線部分でした。つまり、非常に重いコートをかけた場合、つなぎ目が破断する前に、ハンガーフックが伸展するということがわかりました。思い返してみれば、実際に自宅でハンガーフックが伸展してしまったことがあったような気がします。

次に同じ要素サイズで、要素の次数を一次要素から二次要素に変更した場合の結果を比較してみます。

FirsOptiStruct_04

図4 要素の次数を一次要素(左)から二次要素(右)に変更

左側が一次要素、右側が二次要素のミーゼス応力の解析結果です。同じモデルなので、応力分布は変わりません。しかし、要素次数が異なると、各解析結果の値が変わります。要素数、節点数、最大応力値、最大応力節点の変位、解析時間をまとめた表がこちらです。

 

一次要素

二次要素

要素数

118826

118826

節点数

56826

227389

最大応力値

948.161

912.609

変位

0.459

0.506

解析時間sec

16

64

表 一次要素と二次要素の比較

一次要素では1つのテトラで4節点、二次要素では10節点で構成されるため、同じ要素数でも二次要素では、一次要素に比べて節点数が大幅に大きくなり、解析時間も増加し、解析精度は高くなります。今回の場合、一次要素の二次要素に対する最大応値の誤差率は約3.9%、変位は約9.3%でした。しかし、解析時間は二次要素にすることで4倍になってしまいました。

解析時間と解析精度はトレードオフの関係にあるため、どの程度まで解析時間、誤差を許容するのかを決め、メッシュ粗さや次数を決定することが重要であると感じました。そのためには同じモデルでメッシュ粗さや次数を変えて、複数回解析したうえで決定する必要があります。一次要素の二次要素に対する誤差は見る解析結果によって異なるため、例えば、変位を対象とするときは、応力値を対象にする場合よりもメッシュに気を使う必要があると考えられます。

解析をするうえでメッシュは非常に重要で、気を使わなければならないということを学びました。まだまだ駆け出しですが、これからも様々な知識を吸収していきたいと思います。

↓↓このブログを社員が補足します↓↓

解析よもやま話【第34回:要素タイプの選び方】
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カテゴリー: Tips, 学生支援

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