2021年4月より、国の認可を受けた事業者が、電動キックボードを貸し出す実証実験を行っています。小型特殊自動車扱いで、最高速度は15km/h以下、普通自動車や自動二輪の免許で運転できます。ヘルメットの着用は任意です。
電動キックボードは、海外では都市部の交通手段として定着していますが、国内においては利用が始まったばかりで、交通ルールや特性が十分理解されていないために起こる交通事故が発生しています。
※※ 参照 ※※
交通事故の再現は、ダミー人形を用いた実験やスタントマンが実演する場合もありますが、コンピュータシミュレーションを用いれば、広い環境や大きな装置がなくても短時間で事故を再現でき、衝突時の衝撃を計測したり状況を細かく分析できます。
こちらは約15km/hで走行中、車と接触したシナリオのシミュレーションです。
乗用車はフルブレーキをかけ速度低下しますが、キックボード運転者の膝付近にバンパーが衝突し、運転者はキックボードとともに引きずられています。まず手が地面と接触し、その後頭を打ち付けています。
こちらは速度を表したグラフです。15km/hで走行していても、地面衝突直前の速度は22km/hほどになります。これはエネルギー換算で140km/hの野球ボールが当たるのと同じ衝撃で、打ち所が悪ければ死亡事故になりえます。
駐車場の車止めに躓いて転倒するケースもシミュレーションしてみました。
横方向から侵入しますが、タイヤ径が小さく速度も遅いため車止めを乗り越えられず、バランスを崩して転倒し、地面に頭部を打ち付けています。
こちらが速度の変化を表したグラフです。先のシミュレーションと同様、15km/hで走行していても、地面衝突直前の速度は22km/hほどになり、単独事故ですが、車と衝突したときと同様の衝撃です。また、速度が急劇に立ち上がっている(加速度が高い)ため、脳への障害リスクが高いと言えます。
15km/hで走行しているどちらのケースも、転倒時にはエネルギー換算で140km/hの野球ボールが当たるのと等価の衝撃があることが分かりました。また、乗用車と接触する場合、バンパーと脚が当たることから、脚部の損傷も無視できません。低速とはいえこれだけの衝撃があることを覚えておきたいものです。
交通事故のシミュレーションには、車両モデルや人体モデルのほか、運動力学シミュレーションソフトウェア、衝突解析のための非線形解析ソルバー、視覚的に理解しやすくするための可視化ツールやリアルに再現するレンダリングツールなどが使われます。アルテアは、いずれのツールも有しており、世界中のモビリティメーカーで採用され、車両開発にも貢献しています。
交通事故の分析や、再現動画の作成にご興味をお持ちの方はお問い合わせください。
おまけ:転ばないパターン(レンダリングした場合)

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