スポーツと物理学 – 最強の砲丸投げ選手を作るのは筋肉なのか?

スポーツと物理学-最強の砲丸投げ選手を作るのは筋肉なのか?

2016年、リオデジャネイロオリンピックで砲丸投げの米ミシェル・カーター選手が金メダルを獲得しました。彼女の投てき(砲丸を押し出すようにして投げるグライド投法)の飛距離は、20.63メートルという驚異的なものでした。これは、重さ4キロの砲弾をマッコウクジラの体長分投げたようなものです。ほとんどの人は、自分の足の上に落とさないようにするのが精一杯でしょう。

砲丸投げを知らない人は、パワーが勝負の第一条件で、筋肉質の選手はライバルよりも速いスピードでショットを押すことができるに違いないと思うかもしれません。

世界のトップアスリートの戦いでは、小さなアドバンテージがものをいいます。選手たちは、グライド投法(オブライエン投法)や回転投法を練習し、1回のプッシュで生み出せるパワーを最大限に引き出します。また、リリースの高さや角度、ショットの速度などのデータを綿密に分析し、最高の結果を得るために努力しています。

シミュレーションソフトウェアで、これらの入力パラメーターが投てきの距離に与える影響を調べることができます。Altair OptiStructTMで飛行中のショットの陽解法動解析を行い、それぞれの入力が移動距離に与える影響を調べてみました。陽解法による動的解析では、非線形性の高い過渡的な動的力を受ける物体の短時間のイベントの物理特性を捉えられます。

まず、最適化スタディを行い、最大飛距離を得るための理想的リリース角度が約45度であることを確認します。そして、リリース高さを1680mm(約5フィート5インチ)、リリース角度を45度、投球速度を13.5m/秒としたところ、カーター選手のウイニングプットとほぼ同じ20.4mのショット距離をモデル化できました。現実世界の物理現象を正確にモデル化すれば、リリースの高さや角度のわずかな変化が最大飛距離にどのように影響するかを調べることができます。

 

Altair OptiStructを用いた投てきの陽解析

2つ目のシミュレーションで、OptiStructを使って円盤投げの投てき角度の影響を調べました。秒速10メートルという同じ速度のまま、円盤を60度の角度で投げた場合の飛距離は9.9メートル、45度にすると12メートルになり、19%以上も飛距離が伸びました。選手やトレーナーはこれらの入力パラメーターをさらに検討して最適な方法を見つけ、選手の能力を最大限に引き出すことができます。

秒速10m、リリース角度45度で投げられた円盤

 

秒速10m、リリース角度60度で投げられた円盤

 

砲丸投げと円盤投げは、パフォーマンスを最適化するためにシミュレーションを使用した比較的単純な例です。

単純な設計であればエンジニアの知識と経験で決定できることが多いのですが、多くのパラメーターが相互に関連する複雑な問題に直面した場合、最適なバランスを見つけることは非常に困難です。パラメーターを調整し、シミュレーションを再実行し、結果を見るという繰り返しのアプローチでは無駄が多く、すべての選択肢を検討し終えたのかどうか確信が持てません。

実験計画法(DOE)や最適化は、このような問題を解決するための有効な手段ですが、これらのマルチランシミュレーションの定義、設定、管理は必ずしも容易ではありません。コンピュータ支援エンジニアリング(CAE)のプリ・ポストプロセッサーにツールが統合されていることもありますが、習得に時間がかかり、使い勝手がよくありません。その結果、こういったツールは専門家用となってしまうことが多いのです。

Altair® HyperWorks® Design Explorerは、製品性能の予測と評価をリアルタイムに行うためのマルチランシミュレーションの定義、実行、ポストプロセス、解釈に至るまで、製品エンジニアや解析者に、シームレスかつ直感的なエンドツーエンドのワークフローを提供します。

 

Altairのシミュレーションおよび最適化ツールを使えば、アスリートから自動車エンジニアまで、性能を正確に予測し、最適化のための洞察を得て、最も重要なときに最高のパフォーマンスを発揮できます。詳細については、https://www.altairjp.co.jp/optistruct/ をご覧ください。

*本記事は、米国本社の「Sports Physics: Is the Best Shot Putter Just the Strongest Athlete?」を翻訳したものです。

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カテゴリー: Innovation Intelligence Global, 事例

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