電動立ち乗り二輪車のシステムシミュレーション

システムシミュレーションの必要性

日本で発電される発電量の約55%は電気モーターで消費されていると言われており、電気モーターの電力効率を上げることは、環境問題の面でも非常に重要です。

モーター単体の開発においては、トップランナー方式(Wikipedia参照)が採用され、十分な最適化検討のもと、電力効率は年々上がっていますが、製品全体としての電力効率にはまだ改善の余地があると考えられます。

その製品全体としての電力効率最適化の手法として、システムシミュレーションがあります。ここでは、電気モーターで駆動し、かつ制御が必要なSegway(www.segway.com)に代表される電動立ち乗り二輪車のシステムシミュレーション事例を紹介します。

HyperWorks製品群を用いたシステムシミュレーション事例

HyperWorks製品群を用いて、電動立ち乗り二輪車のシステムシミュレーション環境を構築しました。

HyperWorksによる電動立ち乗り二輪車のシステムシミュレーションモデル
Figure 1 HyperWorksによる電動立ち乗り二輪車のシステムシミュレーションモデル

Figure 2 電動立ち乗り二輪車の走行シミュレーション*3

使用したソフトウェア:
・システムシミュレーション Altair Activate
・電磁界解析 Flux
・機構解析 MotionSolve
・3Dモデリング・レンダリングsolidThinking Evolve(現 Altair Inspire Studio)(次号解説)

FEMでモデル化した電気モーター、マルチボディでモデル化した乗員および立ち乗り二輪車を、システムシミュレーション環境で制御モデルと結合しています。

これにより、様々な走行パターンにおける消費電力が計算できます。電力効率化のためには、電気モーター単体のみでなく、制御はどうあるべきか、車体構造・機構はどうあるべきか等、製品としての全体最適化検討が必要で、HyperWorksであれば、ひとつの製品群の中でそのすべてが可能です。

様々なプラントのモデル化手法

本事例では制御対象(プラント)の電気モーターを最も詳細なFEMでモデル化し、Co-simulationにてシステムシミュレーションを実施していますが、計算コストを下げるため、FEM単体の事前計算によりテーブルマップを作成したり、FEMの分析結果により得られたメカニズムから数式モデルを作成したりと、様々な粒度のプラントモデルを作成することができます。

電気モータのプラントモデル
Figure 3 電気モーターのプラントモデリング

当然モデル化の粒度によってはすべての現象を表すことができないため結果は異なりますが、設計Phaseにおいて再現するべき現象、決めるべき設計値に応じて粒度の異なるプラントモデルを使い分けることで、効率的に設計を進めることができます。

電気モータのプラントモデル-トルク履歴の比較
Figure 4 モデル化違いによるモータートルクの比較


Figure 5 設計Phaseにおけるプラントモデルの使い分け

システムシミュレーションを活用し、設計プロセスを効率化し、製品全体としての電力効率の最適化を進めましょう。

より詳細な内容を問い合わせる Activateの機能紹介動画を見る

*3:Figure 2のアニメーションレンダリング動画は、今回の解析アニメーションをh3d形式で書き出し、solidThinking Evolve(現Altair Inspire Stuido)を使って作成しました。

0 0 votes
Article Rating

カテゴリー: 事例

Subscribe
Notify of
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments