機械学習はより良いワークアウトプログラムの設計に役立つか?

スポーツとデータサイエンス/身近な科学検証シリーズ

ワークアウトを始めようと意気込んで近所のジムに入ったものの、何から始めたらいいのかわからなくなったことはないでしょうか。居心地が悪かったり、恥ずかしさを感じたりするかもしれませんが、これはごく普通なことです。自分の身体に合った正しい選択をするのは意外に難しく、特に何から始めたらいいのかわからない場合はなおさらです。しかも、トレッドミルやトレーニング機器がすべて埋まるほど混雑していた場合には、余計に気後れしてしまうことでしょう。

自宅でのトレーニングも簡単ではありません。最新のフィットネスマシンを手に入れたとしても、正しく使えなかったり、継続できなかったりすれば、せっかくの投資が無駄になってしまいます。結局、多くの人に共通する課題は「しっかりとした計画がなければ、理想の結果は得られない」ということです。

パーソナルトレーナーがいない場合、テクノロジーを活用するのも一つの手です。高度な機械学習人工知能(AI)は、賢いトレーニングの意思決定に役立ちます。機械学習とAIは私たちの日常生活に欠かせないものとなり、テクノロジーとの関わり方、意思決定、情報へのアクセス方法を大きく変えています。

そこで私たちは、「機械学習を活用すれば、初心者向けの効果的なワークアウトプログラムを作れるのではないか?」と、考えました。その答えを見つけるために、データ分析・AIプラットフォームAltair® RapidMiner®に注目しました。

機械学習による信頼性の高いトレーニングプログラムの設計

機械学習、特に決定木(Decision Trees)を活用すれば、一般的な利用者向けのワークアウトプログラムを最適化できるかという疑問に答えるために、我々のチームは、ジム会員3,350人のデータセットを分析することにしました。このデータセットを、決定木モデルの基礎としています。決定木とは、意思決定の基準を明確にし、一貫したロジックを適用して望ましい結果に到達させるシンプルなツールで、スポーツ科学において、より体系的なアプローチを可能にします。

モンテカルロシミュレーション(ランダム性を利用して決定論的な問題を解くシミュレーションの一種)を使って、以下の2つの主要な変数を含むデータセットを作成しました。

  1. 会員がさまざまなトレーニング機器に費やした平均時間(分単位)
  2. 各機器のセット数と使用重量/抵抗

このプロセスにより、いくつかのシミュレーションを実行し、その結果を平均することで、平均的な結果を推定できました。目標は人によって異なりますが、一般的にジム会員は、減量、持久力向上、筋力増強、健康全般の増進のうち、1つ以上の目標を達成することを目指しています。データセットには、6ヵ月後のこれら4つの目標の結果を表す変数が含まれていました(図1)。

機械学習はより良いワークアウトプログラムの設計に役立つか?

図1:設定した目標を達成した結果(6ヶ月後)

機械学習を使ってワークアウトを最適化するワークフローは以下の通りです。

  • 機械学習が目的達成につながる重要なトレーニングを学習します
  • 決定木は、これらのトレーニングの性質を分析し、個々に最適化されたワークアウトプログラムを提案します(図2)

このデータを分析することで、最適なワークアウトプログラムを構築するために必要なトレーニングを特定できます。

機械学習はより良いワークアウトプログラムの設計に役立つか?

図2:機械学習と決定木を使用したワークフロープロセス

まず、平均セッション時間とセット数の生データ(図3)と、6ヵ月後の成果(図4)を結合します。このデータを基に4つの決定木モデルを作成し、トレーニング目的ごとに成功したグループを予測・分析します。決定木モデルは、成功率の高いグループを特定し、目標達成に貢献した主要な変数を明らかにするために、2組の結果を生成します。

各トレーニング機器に費やした平均時間(分単位)
  • Member ID(会員番号)
  • Elliptical machines(クロスステップ)
  • Treadmill(トレッドミル)
  • Exercise Bike(エアロバイク)
  • Rowing machine(ローイングマシン)
  • Stair Master(ステアクライマー)
  • Aerobics class(エアロビクス)
  • Leg Press(レッグプレス)
  • Chest Press(チェストプレス)
  • Bench Press(ベンチプレス)
  • Squats(スクワット)
  • Cable machine(ケーブルマシン)
  • Glider machine(グライダーマシン)
  • Lat pull down(ラットプルダウン)
  • Assisted Dip machine(ディップスアシスト)
  • Ab-bench(シットアップベンチ)
  • Dumbbells(ダンベル)
  • Swimming(水泳)

機械学習はより良いワークアウトプログラムの設計に役立つか?

図3:各トレーニング機器の週当たりの平均時間とセット数の生データ

機械学習はより良いワークアウトプログラムの設計に役立つか?

図4:トレーニング情報と結果を組み合わせた6ヶ月後の拡張データ

例えば、マラソンの成績を上げるために持久力を向上させたい場合や、ウェイトリフティングの目標達成のために筋力を増強させたい場合、決定木はそれぞれの目標達成に最適なロードマップを示すことができます。次の決定木は、減量、持久力向上、筋力増強、健康増進という4つの主要な目標に向けたワークアウトプログラムを構築するために必要なトレーニングを示しています(図5-8)。

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図5:減量向けの決定木モデル

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図6:持久力向上のための決定木モデル

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図7:筋力増強のための決定木モデル

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図8:健康全般の増進向け決定木モデル

結果の活用方法

決定木から得られた結果を活用することで、ワークアウトプログラム設計マトリックスを作成できます。これは、会員、パーソナルトレーナー、コーチがワークアウトプログラムを作成するのに役立つツールです。決定木は、より論理的で体系的なアプローチを示し、フィットネスに対する見方を変えます。このモデルの結果を基に、目標を達成するために必要なトレーニングや要素を明確にできます。下のマトリックス(図9)は、ジムの会員データの結果です。例えば、減量を目指す場合は、モデルは有酸素運動とウェイトトレーニングの組み合わせを推奨しています。トレッドミルでのランニングと水泳に加え、スクワットとダンベルを取り入れるのが、最も効果的な組み合わせです。また、筋力増強を目指す場合は、フリーウェイトとケーブルマシンの組み合わせが奨励されます。

主なトレーニング目的 トレーニングに不可欠な要素
減量 トレッドミル、水泳、スクワット、ダンベル
持久力向上 トレッドミル、ケーブルマシン、ダンベル、水泳、クロストレーナー、ステアクライマー
筋力増強 ダンベル、ケーブルマシン、ベンチプレス、プルダウン、ケーブルマシン、シットアップベンチ
健康増進 トレッドミル、ベンチプレス、クロストレーナー、水泳

図9:トレーニングプログラム設計マトリックスの結果

データに基づくワークアウトのメリット

このようなモデルを使う最大の利点は、ワークアウトプログラムの作成における試行錯誤を排除できることです。データに基づいた洞察を活かせば、気後れしたり、迷ったりすることなくトレーニングに集中でき、より健康的でアクティブな身体作りを実現できます。

トレーニングに関する決断は、感情、バイアス、不完全な情報、あるいは矛盾する情報によって複雑になりがちです。

ありがたいことに、私たちは今、こうした課題を解決し、目標達成をサポートする強力なツールを手にしています。

結論として、機械学習と決定木を活用すれば、信頼性の高いワークアウトプログラムを設計でき、データに基づいた最適化なワークアウトプログラムを構築できることが証明されました。

Altair RapidMinerプラットフォームとその決定木機能についての詳細は、https://altair.com/altair-rapidminer-jpをご覧ください。

*本ブログは、米国本社の「Digital Debunking: Can Machine Learning Help Design Better Workout Programs?」を翻訳したものです。

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カテゴリー: Altair Global Blog, 身近な科学検証

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