スポーツとデータサイエンス
私たちは通常、シミュレーション、人工知能(AI)、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、機械学習、データサイエンスといったテクノロジーを耳にすると、最新世代の自動車や世界最先端のスーパーコンピューター、再生可能エネルギーの最前線などで使われていることを思い浮かべます。しかしこれらのテクノロジーは、近年見られるスポーツテクノロジーの飛躍を支える最大の要因のひとつでもあります。シミュレーション、AI、HPCはすべて、質の高い膨大なデータに支えられており、アスリートがより速く走り、より強く投げ、より強く蹴ること、そしてこれまで以上に強く、速く、軽い用具の開発に役立っていますが、ゴルフほどこの傾向が顕著なものはありません。アルテアのような技術のおかげで、今日のゴルファーは、スコアカードから貴重なストローク数を削り取ってくれる、より優れた、軽くてダイナミックなクラブを手にできています。今年のマスターズトーナメントでも、そのようなクラブを見かけたのではないでしょうか。
シミュレーション、AI、HPCは現在、ゴルフクラブの開発や設計の最前線に登場しつつありますが、アルテアは長年にわたり、ゴルフ界の大手メーカー各社がより優れた用具を製造するための支援を行ってきました。アルテアのシミュレーションソリューションとデータ分析ソフトウェアは、メーカーや設計者がさまざまなスイングやスタイル、コンディションに合わせて用具を最適化できるよう支援します。Cleveland Golf、PING、Wilson、(日本では、ミズノや遠藤製作所)などが、ゴルフテクノロジーの最先端を走り続けるために必要なツールやサービスをアルテアに託しているのには理由があります。
イスマイル、AIを駆使したゴルフクラブ設計を語る
アルテアのIsmail Benhayounは、AIによるゴルフ業界への革命の数々を目の当たりにしてきました。アルテアでエンジニアリング担当シニアディレクター兼ゴルフ業界担当アカウントディレクターを務める彼は、ゴルフ業界最大手のメーカーをはじめ、さまざまな業界で10年以上にわたってAI主導のゴルフクラブ設計に携わってきました。最近、彼はGolf 360 PodcastでThe Golf Paradigmと対談し、ゴルフ業界におけるAI、シミュレーション、データの役割、AIを活用したゴルフクラブ設計の将来像、メーカーがクラブ設計以外にもAIやデータの活用をどのように広げているかについて話し合いました。以下は、その会話のハイライトと引用の要約です。
ゴルフクラブ設計におけるAIの役割と歴史
そもそも、なぜ企業がゴルフクラブの設計にAIやシミュレーション、データを使うのか、ということから始めましょう。ゴルフメーカーがよりよい製品開発を達成できるよう支援することが、アルテアの第一の目標です。「AIを通じたアルテアの目標は1つです。企業がより良い製品を、より早く、より安く、より持続可能な方法で製造できるよう支援することです」と、イスマイルは言います。「AIプロセスの最初の要素は機械学習ですから、AIプロセスについて語るなら、まずは機械学習とは何か?から話す必要があります。単にデータのパターンに基づいて意思決定を行うプロセスのことです。AIはそのデータの上に重ねられる追加のレイヤーです。プロセスや方程式など、そのデータの上に予測や創造性を加えることができるものであれば何でもかまいません」
当初、ほとんどの企業はこのAI技術の大規模な採用をためらっていたとイスマイルは言います。多くの企業は、従来の物理的なテストに代わって仮想検証やシミュレーションを行うことに消極的でした。「シミュレーションの写真を見せると、『クラブを緑や赤に色づけるのは構わないけど、やはり自分でテストしたい』と言うのです。今となっては、核となるテクノロジーは完全に浸透しているので、ほとんどの人はそれを使うことをためらいません。一夜にして変化が起きたのではなく、浸透するのには、10~15年ほどを要しました。しかし、過去100年間のクラブ設計を比較すると、業界がAI、シミュレーション、HPC、データを使い始めて以来、テクノロジーは革命的に飛躍しました」
イスマイルによれば、企業はテクノロジーを信頼していますが、すべては豊富で高品質なデータがあるかどうかにかかっています。データには現実世界の物理や力が正確に反映されていなければならないため、仮想環境でのAIやシミュレーションプロセスはあまり価値がありません。「バーチャルといっても、これはゲームではありません。物理学に基づく運動と機械工学が融合して、物事がどのように見え、どのようにあるべきかを決定しているのです。これを正しく使用することが、望ましい設計と製造の成果を達成する鍵なのです」
AIが従来のゴルフクラブの設計法を改善する方法
では、メーカーや設計者がより良いシャフト、ヘッド、トポロジーを作るのに、AIは具体的にどのように役立っているのでしょうか?ほとんどの場合、AIは既存のデータと実際のインパクトやスイングのデータを使って、新しいデザインを迅速に作成し、テストし、最適化してくれます。AIが近年のテストと設計プロセスをいかに合理化したか、イスマイルの説明によれば、「過去10~15年で、誰もがクラブを最適化する方法を学びましたが、そのほとんどは「スイートスポット」のインパクトに関するものでした。この「スイートスポット」のインパクトデータは、主にプロのツアープレーヤーによるものです。なぜなら、スイングをそれほど制御できるのは彼らだけだからです。つまり、クラブの90%、「スイートスポット」の外側の領域こそが、AIの最適化の可能性がある場所と言えます。というのも、平均的なプレーヤーがどれだけ「スイートスポット」の外側で打っているか、クラブフェースのどこで打っているか、コンタクトの質などをAIが教えてくれるようになったからです。これらのデータはすべて、今日の高度なエンジニアリングと製造ツールと組み合わされ、次世代クラブを作るのに役立っています」。
さらに、AIは重心位置、耐久性、回転、打感、音響など、さまざまなクラブの側面に基づいて最適化されたプロトタイプを自動的に作成するのに役立つとイスマイルは言います。「今日、AIはこれらすべての特性に関する実世界のデータを取り込むことで、設計を推進できます。それを使えば設計の優先順位を設定することができ、これらのパラメータにどのように優先順位をつけるかによって、AIツールは設計を生成したり、既存の設計を最適化したりしてくれます。これこそがAIで、創造性とギャップを埋めるということなのです。このプロセスは今や業界標準となっており、大手メーカーを見ても記録的なスピードでさまざまなクラブのバリエーションを発表しています。それは、AI主導の設計によって、異なるユーザー層や様々なニーズに、より効率的に対応することができるようになったからです」
AIによってエンジニアや設計者は、これまでできなかったことを、より速く、より良く、より広範囲に行えるようになります。AIは、あらゆるスイングや使用状況の選手から収集したデータのおかげで、物理的なテストに費やす時間を減らし、イノベーションの限界に挑戦する時間を増やすことができます。イスマイルの洞察が正しければ、私たちはゴルフ革新のほんの始まりを見ているにすぎません。
AIを活用したゴルフクラブ設計の詳細
シミュレーション、AI、HPC、データ分析がもたらす莫大な恩恵を、ゴルフ業界、そしてスポーツ用品業界全体が受けはじめています。Golf 360 Podcast(YouTube)でIsmail Benhayounのインタビュー全編を視聴するには、ここをクリックしてください。自動生成字幕機能をお使いいただけます。
スポーツ界におけるアルテアの取り組みについては、https://altair.com/sports-jpを、アルテア製品を活用したゴルフ業界の事例については、以下をご覧ください:
- ゴルフヘッドの反発特性解析(遠藤製作所)
- 秘密は直径1.3mmの凹みにあり – 「飛ぶゴルフボール」を追求するミズノ
- 最新のIntel Xeonプロセッサーを搭載したAltair HPCアプライアンスで、PING Golfが一歩先を行く方法
- クリーブランドゴルフ、Altair® HyperWorks®によるシミュレーションと最適化で製品革新を推進
- ウィルソンゴルフ:ドライバー対ドライバー
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*本ブログは、2023年4月24日に米国本社が投稿した「Transforming Golf Club Design with Artificial Intelligence」に加筆したものです。
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