半導体不足の今、コンピュータリソースを確保する方法(自社のコンピュータを2倍効率よく使うために)

半導体不足の今、コンピュータリソースを確保する方法

半導体不足による価格高騰

2022年も半導体不足によるコンピュータの価格高騰や納期の遅れ、さらには電気代の高騰に、情報システム管理者は悩まされるかもしれません。

2020年以来のコロナ禍による巣ごもり需要により、半導体不足が顕著になって久しくなります。また、1月に発表された米消費者物価は40年ぶりに、前年比で7.2パーセント上昇し、連邦準備制度理事会は利上げの姿勢を強め、日米の政策金利の格差から二週間で10円近く円が急落し、一時1ドル124円を超えました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻により、国際的な制裁が発動され、天然ガス、原油やレアメタルといった製造業や発電の原料となるコモディティ価格も上昇しました。

こうした国際情勢の中、海外のCPUやGPUを中心として構成されるコンピュータの価格は上昇し、国際的な会計事務所のDeloitteは今後も半導体不足が続くと予想しています。また、日経クロステックが行った国内ITサービス大手へのアンケートでは、営業損益へのマイナスな影響が数十億円に昇る、と複数の企業が回答しました。さらに、国内の発電の3割以上を天然ガスに頼る中、コンピュータが消費する電気代の積み増しも必要になってきます。

今あるコンピュータリソースを活用する

このような世界情勢の中、コンピュータリソースの確保と効率的な活用が、製品開発を支える情報システム管理者の喫緊の課題となっています。

しかし幸いなことに、まだコンピュータリソースに余裕のある場合が多いです。一般的に、コンピュータの能力の60パーセントを使っていれば「使用率が高い」と判断され、これは自家用車が一日平均5パーセントの時間しか走行していない状況に似ています。活用されていないコンピュータリソースは、目の前に転がっているのです。

コンピュータリソースを最大限に活用するテクノロジーは、大きく3つあります。一つは、ジョブスケジューリング、二つ目にはクラウドバースティング、三つ目は使用状況の視える化です。これらを導入すれば、コンピュータの使用率を90パーセント以上に高めることが見込め、ハードウェアの増設よりコストも手間もかかりません。

ジョブスケジューリング

複数のユーザが設計開発でコンピュータを使用する場合、各ユーザが様々なソフトウェアライセンスを一時的に確保し、空いている複数のコアを予約し、計算ジョブを投入します。投入する計算ジョブが少ないときは、パソコンのようにインタラクティブに使用できますが、数十名のユーザが、思い思いに何千という計算ジョブを投入すると、数分で終わるはずの計算が何時間も待たされたり、コンピュータの空き状況を頻繁に確認しなくてはならないなど、現場が混乱してしまいます。

半導体不足の今、コンピュータリソースを確保する方法

ジョブスケジューラがあれば、空いているコンピュータリソースを探す必要なくなり、設定された優先度に応じて、必要なリソースを必要な分だけ確保します。ジョブスケジューラを導入する前は25パーセント程度だった使用率が、導入後は一般的に70パーセント程度まで向上します。

製品設計で使用されるソフトウェアのライセンス費は、それを稼働させるコンピュータよりも高価な場合が多く、限られたソフトウェアライセンスを夜間や休日にも稼働させ、効率的に使用するためにもジョブスケジューラは必要なテクノロジーです。

クラウドバースティング

普段はオンプレのコンピュータを使い、繁忙期にオンプレからあふれた計算をクラウドで計算する、クラウドバースティングも有効な仕組みです。オンプレのコンピュータを100パーセント使い、機動的に計算リソースを追加できる「クラウドとのハイブリッド構成」も魅力的な選択肢の一つとなります。ユーザはオンプレかクラウドかを意識せず、通常と同じように計算ジョブを投げるだけで最適なリソースを選択し実行してくれます。

半導体不足の今、コンピュータリソースを確保する方法

半導体不足は、新しく購入するコンピュータの納期に大きく影響を与えていますが、既に稼働しているクラウドについては、物理的な納入、設置を待たずに必要なリソースを確保できます。クラウドの従量課金に電気代も含まれているため、コストを読みやすいというメリットもあります。3月16日に起きた首都圏の大規模停電でも、データセンターは落ちることなく稼働を続け、クラウドの高い可用性を示しました。また、機械学習や大規模な解析で使用するGPUなどの特殊なコンピュータも、クラウドで使用を始めれば、初期導入のハードルが下がります。

コンピュータ使用の視える化

現在どのくらい効率的にコンピュータを使用できているか、また、過去の実績を把握し将来の計画を立てるためにも、コンピュータの使用率の把握は重要です。Altairのソリューションでは、コンピュータ使用率を、グラフィカルなダッシュボードで簡単に自動で視える化します。

半導体不足の今、コンピュータリソースを確保する方法

独自のレポートシステムを開発し、管理している企業もありますが、こうした内製ソフトは、独自システムの管理自体にコストと時間がかかり、技術が属人化しやすいというデメリットもあります。パッケージソフトであれば、すぐに最新技術が使え、情報システム管理者も本来の業務に集中できるようになります。

ある企業では、各部署に月一回、コンピュータの使用結果がコストセンターから通知され、課金される仕組みでした。自分の部署が現時点でどの程度リソースを消費しているかを確認できないため、予算内に開発を進めるのが困難でした。

ほぼリアルタイムにコンピュータの使用状況を把握できる視える化ツールがあれば、過去の使用率のデータを基に、ライセンスの数量を増やしたらどうなるか、クラウドリソースを増設したらどうなるかを予測し、最も効率の良い情報システムの計画を立てることができます。時間をかけずに根拠を集め、数字に基づいた合理的な稟議も行えるようになります。

まとめ

半導体不足でコンピュータの納期が遅れ、価格が高騰する中でも、「ジョブスケジューリング」「クラウドバースティング」「使用状況の視える化」により、既存のコンピュータリソースを最大限に活用でき、他社に先んじた攻めの情報システム戦略を実現できます。

Altairでは、コンピュータ使用率を90パーセントに引き上げることを目指した、情報システム管理者向けの革新的なソリューションPBS Worksをパッケージソフトで提供しています。上述の三つの機能も利用できます。ご興味ある方はお問合せください。

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カテゴリー: Tips, 製品情報

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