解析よもやま話 【第29回:材料特性】

衝突などにより、材料が永久変形するようなシミュレーションを行うには、その材料特性を入力データとして与えなくてはなりません。入力データというのは、通常、応力-ひずみの関係を示します。関係は、測定データであったり、材料モデル式であったりします。今回はSSカーブが手に入らない場合や、ひずみが計測できない場合に役立つ、材料特性を同定して試験にぴったりの荷重-変位線図を再現する手法をご紹介します。使用ツールはRadiossとHyperStudyです。

ひずみが計測できない

場合によっては「ひずみ」を知ることが難しいときがあります。ひずみを調べる場合、もっとも信頼できる調べ方の一つはひずみゲージを使うことでしょう。しかし、例えば、とても薄い柔らかい樹脂の試験片しか入試できなかったとしましょう。その場合、ひずみゲージ(金属をプラスチックに貼り付けてある)を接着剤(接着剤自身が樹脂の一つ)でくっつけるわけですが、それらによる剛性の変化が無視できなくなり、ひずみゲージの測定値が一体何を測定したものか分からなくなってしまいます。また、場合によっては、試験で変位は測定したけど、ひずみは測っていなかった、ということもあるでしょう。

引張り試験のシミュレーション

このような場合、引張り試験をシミュレーションし、試験で測定した変位、荷重履歴にあうような材料特性を見つけ出す、ということを行います。引張り試験のシミュレーションには Radioss、ぴったり合う材料特性を見つけ出すところは HyperStudy というソフトウェアが担当します。

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この 1/4 モデルにて

190123_blog_Materialidentification02

以下の値を評価します。() 内は試験値です。

試験片変位 1.5mm 時点での荷重(1438N)
くびれ発生時の変位(6mm)
くびれ発生時の荷重(1510 N)

にもっとも近づけるようにします。くびれは、荷重が最大となるところと定義します。

材料パラメータ

Johnson-Cook 材料則は、降伏後の応力を次のように表します。

190123_blog_Materialidentification07ここで、σが応力、εp が塑性ひずみです。今回は、この式の a, b, n に、ヤング率 E を追加して同定します。

変数 最小値 最大値
E 50000 70000
a 90 120
b 100 160
n 0.1 0.3

材料同定を行う

パラメータ同定を行うときに特別な処理は必要ありません。各評価値の目標値を指定するだけで同定を行えます。

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以下のような値にすると、実験によく一致することが判明しました。

変数 同定値
E 70000
a 94.212614
b 121.73447
n 0.2293361

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ちょっとした修正に使える1Dモデル化

同定に使った大量の計算結果からエクセルによる 1D 予測モデルを作成します。実際に解析用の材料カードを作る際に、同定値をそのまま使えない場合も多いと思いますが、この 1D モデルですばやく結果の予測値を知ることができます。

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ヒント

もし、応力-ひずみ線図を入手できたとしても、使いたい材料モデルの式が難解であることがあります。その場合も、本実例をアレンジし、変位と力ではなく、ひずみと応力に合わせこむ同定を行うことで、材料パラメータの同定ができます。

参考情報

本記事は Altair HyperStudy の手順付き例題 HS-4200 にアレンジを加えたものです。Altair HyperWorks ご購入後、すぐに試していただけます。

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カテゴリー: 学生支援, 解析よもやま話

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