先日のトルコ・シリア地震は多数の死傷者が発生する大惨事となりました。地震大国である日本でも近年大地震が何度も発生しており他人事ではありません。今回の地震では建物が下層階から次々と崩壊するケースが多く見られ、パンケーキクラッシュと呼ばれています。どのような現象なのか検証するため、ビルディングのRadiossモデルを使って解析してみました。
図1に示すこのモデルは同一構造の階層を積み重ねて作成されています。地震荷重としては地面を水平方向(X方向)へ毎秒振幅2mで強制振動を負荷しました。
図1 ビルディングのRadiossモデル
15秒間について計算した結果が図2です。
図2 計算結果
まず最下層が崩壊し、その後次々に上の階が崩壊して最終的にはビルディング全体が倒壊してしまいます。ビルディングは非常に大きい質量を持っていますが、地震で地面が振動するとその慣性力を最下層が受け止めることになり崩壊のきっかけとなります。最下層が崩壊した後も地震が続くと、その上の階へと次々と崩壊が伝搬していわゆるパンケーキクラッシュが発生します。今回のモデルは各階層が一様なので下層階ほど負荷が大きいため下から順に崩壊しましたが、中層階に構造的に弱い部分があればそこが崩壊する場合も考えられます。
以前のよもやま話【第25回:座屈解析を考える(自重が剛性に与える影響)】でも触れましたが、最近のビルディングには使い勝手やデザインの面から、最下層を柱だけで支えるピロティ構造が多く見られます。日本の場合このような構造でもパンケーキクラッシュを起こさないよう法整備がされていますが、設計段階、建築段階でも十分検討されているものと信じています。
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