解析よもやま話 【第17回:ビーム要素に注意】

2015年3月11日にAltair JapanのFacebookへ投稿された記事の転載です。

こんにちは、Altairの中川です。
前回はCAE解析と関係ない駄文を書いてしまいましたので、今回はまじめ?!にCAE解析についてのお話にします。

先日弊社技術サポート宛に「ビーム要素で作成したモデルがシェル要素のモデルとまるで違う結果になるので調べてほしい」というお問い合わせがありました。図のように、C型の断面のビームを接続して柱の上下端を完全拘束、腕の端部に横方向荷重を掛けたのですが、図の左上のレジェンドを見ると分かるようにビーム要素の方がシェル要素より変形量が100倍以上大きくなってしまいます。

最初はどちらかのモデルがどこかおかしいのではないかと思ったのですが、材料力学の計算式で手計算してみるとビーム要素の結果は正しいようです。

結論としては、シェル要素のモデルでは柱の上下端と中央の腕接続部の断面変形が止められているためにねじり剛性がはるかに高くなる、ということです。柱をずっと長くすると、シェル要素とビーム要素の計算結果は近くなってきます。このモデルのように全体寸法に対して断面寸法が大きく、しかも開断面の場合にはビーム要素を使うと実物とは全く違う変形になってしまいます。

チューブのような閉断面でできた構造をビーム要素でモデル化すると、結合部のローカルな剛性低下が考慮されないので実際よりも剛性が高く計算される、というお話を以前しましたが、開断面だとその逆が起こる訳で、ビーム要素でのモデル化には注意が必要だということを再認識しました。

【関連動画】
スクリプトエクスチェンジに投稿されていた「ビーム要素のモーメント線図やせん断力線図を立体的に表示できる」というスクリプトを使ってみた動画もあります >> スクリプト動画

第16回 A bit behind the times <<   >> 第18回 高張力鋼で剛性向上?

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カテゴリー: 学生フォーミュラ, 解析よもやま話

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