解析よもやま話 【第5回:フレーム構造かモノコック構造か -その2】

2014年3月14日にAltair JapanのFacebookへ投稿された記事の転載です。

こんにちは。Altairの中川です。
前回から引き続き、フレーム構造かモノコック構造か(その2)をお送りします。

乗用車の車体がほぼ例外なくモノコック構造なのは皆さんご存知の通りですが、実際には、骨格部材と内外板を一体の溶接構造として組み上げたものなので、正確にはセミモノコックと呼ぶべき構造と言えるかと思います。

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乗用車の開発の場合、スタイルが決まったら、車体のどこにどれ位の太さの骨格を通すか、それにつながる内外板も含めて形状や板厚、 材質をどうするか、をエンジンや乗員のスペース、その他沢山の要件を考慮しながら決めていかなくてはなりません。そして目標とする衝突安全、強度剛性、振動騒音といった性能を確保できているかどうかをCAEで予測して設計変更を加え、試作車を作成して性能を確認する、というプロセスで進んでいきます。

理想としては、開発の初期段階でCAEを活用し、基本構造を決定できると良いのですが、モノコック構造車体の性能を精度良く予測するためには、正確で詳細なFEMモデルが必要です。そのためには詳細なCADデータや使用材料等の設計情報が必要となります。これらの詳細情報が整った段階ではもう生産準備に入れるわけで、基本構造を見直すには遅すぎです。

というわけで、この、鶏が先か卵が先か、というような問題は、先進的な乗用車メーカーさんでも未だに解決には至っていない、と個人的には思っています。

その点、レーシングカーの場合、考慮しなければならない要件が乗用車よりはるかに少ないので、CAEを活用して設計を進めるのに格好の題材だと言えます。フレーム構造かモノコック構造かを問わず、軽くて高性能な車体を実現するために、ぜひもっとCAEを活用して欲しいと思っています。

題名と内容がやや離れてしまいましたが、まだ続きます。

画像出典:ウィキペディア

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カテゴリー: 学生フォーミュラ, 解析よもやま話

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