Thought Leader Thursday: CAEモデリングの進化 – ソルバー言語からエンジニアリング言語へ

Thought Leader Thursday: CAEモデリングの進化 – ソルバー言語からエンジニアリング言語へ

*本記事は、米国本社のブログ『Innovation Intelligence』の投稿文を翻訳したものです。
*『Thought Leader Thursday』は、Altairの各分野のリーダーが毎週木曜日に『Innovation Intelligence』に投稿している、記事シリーズです。

設計プロセス: 設計、検証、最適化のパラダイム

人の手によって作られるあらゆる物やシステムといった製品の設計は、初期コンセプトから数え切れないほどの改善を経て確定されます。設定された性能目標を満たすために検証と改善が繰り返されるわけですが、これまで長い間、その検証作業は試作品を製作し、物理的に試験を行うことで実施されてきました。

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ローマ時代に建造された数多くの橋、建造物、道路、水路は、今日に至ってもなお形をとどめています。完成してすぐに、または建設中に崩れてしまったものがどれほどあったのかを知る術はありませんが、最終的に、ローマ人はCAEの助けを借りることなく、必要な強度を確保する建設方法を学んだのです。

CompressionTension

科学者たちは、力学法則や材料の構成則を発見し、それらを数式として表現することでローマ人の経験的知識をモデル化しました。こういった数式が「仮想」試験を可能性とし、もはや、安全性が確保されていない建造物は無くなりました。試験は当初紙の上で手計算によって行われ、後に“ソルバー”と呼ばれる物理法則を扱うコンピュータプログラムで実施されるようになりました。

設計要件を満たす検証がコンピュータ上で可能であれば、設計者は複雑なシステムに対する厄介な試験を仮想的に簡単に実施することができます。その結果、設計要件を満たしつつコスト、重量やサイズを削減する最適化検討が可能となるのです。

CAEは今日の製品設計において欠かせないものになっており、仮想的な性能検証や大幅な最適化が広く実施されています。事実、多くの複雑な構造物はCAE無くして設計することができないほどです。

設計データモデル

一方、CAEによって製品設計を効率的に推進するためには、計算が高速かつ高精度であることが不可欠です。残念ながらこの二つは容易に成り立たず、両立するためには、扱っている課題を適切にモデル化する能力が必要とされます。複雑なシステムの設計は、時として複層のモデリング作業となります。ある技術領域では伝達関数だったり、他の領域では熱源設定だったり、さらに別の領域では剛体定義だったりします。

RevoluteJointRevoluteJoint2

ある技術領域で物体間の結合は機構運動の自由度で定義されるが、他の技術領域では曲げ変形や座屈を考慮した要素でモデル化されるといった具合です。

ここでは、複数の技術領域を扱うための派生”データモデル“に対して設計変更を如何に反映するかが課題となってきます。

ソルバーデータモデル

特定のエンジニアリング領域用に設計されたモデルの仮想シミュレーションに関して言えば、設計データモデルをソルバーが理解する“言語”であるソルバーデータモデルへ変換する必要があるように、問題はより高度になります。精度は、ソルバーが何をどのようにするのかを考慮したソルバーに対するシステムの記述に大幅に依存します。

様々な分野のための単純ではないシステムを正確に記述するのに必要なスキルは、同じエンジニア、または同じエンジニアのチーム内ですらめったに見つかりません。長年にわたる、多くの業界の製品開発プロセスにおけるCAEの普及により、CAEを分野の違う別々のチームに構築することは一般的になってきています。それぞれのチームは、最高の精度を得るため、ソルバー機能全般を生かすスキルを提供しなくてはなりません。また、ソルバーはもう一段階上の複雑さを加えることもできます。同じ物理的挙動を2つの違うソルバーに、または違うバージョンの同じソルバーに、違うデータモデルで記述しているのを見つけることも珍しくありません。

エンジニアリングデータモデル

残念ながら、ある単一のデータモデルが設計者を含むすべての人に理解されることは、今も、そしてこれから先もしばらくは難しいでしょう。エンジニアリングはまだ、非常に複雑なビジネスなのです。多くのソリューションは、正確さやスピードの面でまだ売り物になるレベルではありません。しかし、すべての仮想シミュレーションツールが、ソルバーが可能なすべての複雑さを露呈しているわけではありません。Inspireを例に取ると、明確に定義され、簡潔で、高度なCAEスキルに必要な予備知識なしでモデル化できるようにシミュレーションが作られています。

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この“簡素化”をすべてのプリプロセッサに当てはめることができるでしょうか?Altairであればできるでしょう。私たちは、産業がCAEに莫大な投資をし、さらに簡素化されたCAD環境へCAEツールを組み込んでいることを無視する訳にはいきません。従って、まずはすべての必要な事例と複合領域をサポートおよびフィードしながら、異なるソルバーや解析が原因の不要な複雑さを隠す、モデルシステムのモジュラー定義への新しいワークフローから着手することで、CAEのモデル定義に“エンジニアリング”のアプローチを導入しつつあります。

たとえ簡素化されたソルバーに依存しないモデリングアプローチの提供が、複雑なシステム、複数のソルバーや分野での正確なモデリングを行うといわれているHyperWorksのような製品にとって難しい問題だとしても、新しいHyperWorksのワークフローは、伝統的であったりカスタマイズされたソリューションに基づく確立されたプロセスを疎外することなく、多くのユーザーに利益をもたらすと信じています。

エンジニアリングの概念の進化が色々な分野にまたがって行われるように、Altairの洗練されたソフトウェアがソルバーの複雑さへの依存度を減らしていくことを私たちは楽しみにしており、みなさんにもCAE分野におけるこの発展の一部を担っていただきたいと思っています。

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カテゴリー: Innovation Intelligence Global, Thought Leaders

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