鈴鹿ソーラーカーレース2018初参加レポート

SuzukaStartline

スポンサーとして参加したFIA Electric & New Energy Championship ソーラーカーレース鈴鹿2018の様子をレポートします。

8月3日(金)、朝から快晴。その日は名古屋が過去最高の40.3度を記録した日でした。かなり強い風が吹いてはいましたが、ダンロップコーナーから吹き抜けてくるその風は熱風。普段のデスクワークで甘やかされたブース要員2名は準備をしているだけで頭がくらくらしてくるというのに、どのピットも緊張感に満ち、テスト走行に向けてキビキビと準備を進めていました。

昼頃から始まったブリーフィングでは、ピットレーンでのスピード制限やホワイトラインなどのルールや注意事項に始まり、ロールバー、サスペンション、ガルバーニ絶縁等の設計の良し悪しの解説など、安全面をメインに確認が行われました。特にロールバーの設計では、横転時にドライバーを守れる設計や素材になっているか?勘で適当に設計をしていないか?など、事故時の損傷画像を見ながら説明が行われました。少し古い記事ですが、この「解析よもやま話 【第20回:学生フォーミュラマシンのさらなる軽量化】」は、ロールバーの設計にシミュレーションを取り入れる際の参考になるのではないかと思います。

ブリーフィングでは、前夜や早朝からの奮闘を感じさせる、疲労を纏ったメンバーも目にしましたが、ブリーフィングが終わるや、午後からのテスト走行に向けそれぞれのピットへ出陣していきました。

鈴鹿ソーラーカーレースへの参加は初めてのため勝手が分かりませんでしたが、いくつかのピットにお邪魔させてもらいました。設計にCADを取り入れている学校は多いものの、シミュレーションはまだまだ導入されていない様子。ソフトウェアの導入コスト、指導者不足などが壁になっているケースが多いようです。もしも今、同じような理由で導入をためらっているなら、弊社のアカデミック活動支援プログラムを活用してみてください。学生の方は、衝撃、軽量化、空力など様々な種類の解析に対応したCAEソフトウェアを無償で使えます。また、東京、名古屋、大阪で、CAE未経験の学生向け無料セミナー(10月開催)も受けていただけます。

名工大ソーラーカー部@鈴鹿
HyperWorksを導入されている名古屋工業大学ソーラーカー部のみなさんとピットにて

初日のテスト走行で翌日の決勝のスターティンググリッド位置が決まるのですが、Altairが支援している名古屋工業大学ソーラーカー部のHorizon Zはコースレコードでポールポジションを獲得しました。実はテスト走行時、トラブルが発生していたらしいのですが、ピット外の私達はその事実を知る由もなく、翌日の本レースに心を躍らせていました。

8月4日(土)、レース本番。決勝レースは、午前中が4時間耐久のエンジョイクラスⅠ・Ⅱの2クラス、午後が5時間耐久のオリンピア、ドリーム、チャレンジの3クラス。お隣ブースのMITSUBAさんには敵わないものの、私達も早朝からブースで待機兼応援。ライブ放送や実況放送でレースの行方を見守ります。前日より多少和らいだとはいえ、早朝から30度を超える暑さ。長袖のスーツを着ているドライバーはさらに暑いはず。体調管理についてのアナウンスが何度も流れていました。

4時間耐久のエンジョイクラスⅠ・Ⅱでは、東京から参加の社会人チーム オリンパスRSが、2位の平塚工科高校社会部を1分半以上リードしての総合優勝。表彰台の裏側を覗かせていただきましたが、サーキット上ではライバルのドライバー同士も、レース後にはお互いの健闘を称え、がっちり握手。高校生も出場する大会のため、シャンパンセレモニーに使われるシャンパンはノンアルコールでした。

午後からはいよいよ5時間耐久レース。熱中症対策として2回以上(通常1回以上)のドライバー交代が義務付けられているとはいえ、約2時間、エアコンのない車内に座ることになります。路面に近い車内がどれほどの暑さになるのかは想像もつきません。飲み物を摂取するチューブを装着して乗り込んでいきます。

レース開始直前のコース上に立たせてもらうことができました。

startgridSuzukaSolarcar

見事な晴天でソーラーカーには絶好のレース日和!かと思っていましたが、実はソーラーパネルは熱すぎると発電効率が落ちるらしく、スプレーで水を吹きかけているチームも。Altairの看板がいいところにあって、ひとりでひそかに喜びます。

NIT_Yamaguchi

HyperWorksユーザーということもあって、つい応援したくなる名工大は少し遅れてグリッドに到着。ポールポジションです。昨日のテスト走行でコースレコードを叩き出したこのドライバーは、昨年のオーストラリアのBWSCのテスト走行でも好タイムを記録した山口ドライバー。10㎏の減量が功を奏したのかどうかは分かりませんが、彼自身は学生フォーミュラの開発班だというのが面白いところです。山口ドライバーのガッツポーズが力強く、期待に胸が膨らみます。

OSU紺色の学生たちに囲まれた名工大のHorizon Zのななめ後方には、取材陣を引き連れた華やかな大阪産業大学が控えます。華やかな理由は、F3に参戦しているという三浦愛ドライバーが、母校だという大阪産業大学のソーラーカーに乗るため。ここだけ別のレースではないかと思うほどのカメラの数とオーラ。とてもきれいな方でした。

名工大はオリンピアクラス、大阪産業大学はドリームクラスでクラスが違うのですが、同じ5時間耐久で同時に走ります。大阪産業大学は、過去に総合で4連覇を成し遂げている強豪です。

いよいよ決勝レースが始まりました。

100km/h前後で走ると聞いていたので、普段レーシングカーが走るような鈴鹿では正直物足りないのではないかと思っていたのですが、杞憂でした。先頭グループが第1コーナーに入っていくスピードはかなりの迫力で、接触するのではないか?とハラハラしました。いい写真を撮りたかったのですが、スマホと撮影テクニックがソーラーカーについていけず、臨場感のある写真を撮ることはできませんでした。当日の写真をご覧になりたい方は、Zero to Darwin Project(Facebook)のページをご覧ください。

午後のレースが始まると、ブースにもちょこちょこと人が訪ねてきてくれるようになりました。興味はある、やってみたいとは思っているけど、と最初の一歩をためらっている方が多いように感じます。いきなり高度な解析はできないかもしれませんが、まずは部品一つの軽量化から取り組んで、少しずつレベルアップしていくという方法もあります。ソフトウェアは無料ですから、まずは試してみませんか?

秋のセミナーではライブ放送もしますが、セミナー会場へお越しいただければPCを使って実際に操作してみることができますから、そこから始めるのが安心かもしれません。CADもCAEも全く未経験の大学入学前のインターンが解析に挑戦したブログ「Inspire日記」もよろしければ参考にしてみてください。

話がソーラーカーからそれてしまいました。レースは、ドリームクラスのTEAM RED ZONEが終始トップを走り、71周の新記録でそのまま総合優勝。安定したレース展開でした。3位以下は、少し長めのピットインがあったり、ペナルティストップがあったりして上下しました。途中「名工大が緊急ピットインか!」という実況に心臓が縮む思いをしましたが、ほどなくピットアウト。無事総合3位、オリンピアクラス優勝という結果になりました。三浦愛ドライバーの乗る大阪産業大学は総合2位と、さすがに強かったです。あの暑さの中、大きな事故やトラブルなくレースを終えるには、参加チームはもちろん、運営側も多大な努力を要しただろうと思います。

レース後のみなさんの嬉しそうな、すがすがしい表情は、観戦しているだけの私達の心も熱くしました。私達がソフトウェアの企業としてできることを今後も考え続けていきたいと思います。

NIT_ceremony

また、会場ではソーラーカー界のレジェンドと呼ばれる方や、学生たちの技術指導や情報共有に尽力されている方々との出会いもありました。レジェンドというので、厳格そうな方を想像していましたが、ソーラーカー業界に明るくない私達にも非常にわかりやすく親切に教えてくださり、興味深いお話を聞かせていただきました。

最後になりましたが、お忙しい中ピットにお伺いしたりブースにお越しいただいたりと、お話を聞かせていただいた皆様、ありがとうございました。こんなことはできないか?などのご相談、ご質問は、academic_support@altairjp.co.jp までお寄せください。

9月20・21日に開催する弊社主催のATCxオートモーティブというイベントで、工学院大学ソーラーチームにご講演いただきます。もしもご興味ございましたら、ぜひ足をお運びください。

Ene-1 Challangeのレポートはこちら

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カテゴリー: イベント, 学生支援

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