ボディ・イン・ホワイト(BIW)全体に曲げ、ねじり荷重がかかる状態のエンジンルームの部材をトポロジー最適化したいが、荷重が全体的にかかるため部分的なモデル化ができない、という問題に直面したことはないでしょうか?
今回の例題では、そういった問題を、設計領域(エンジンルーム)、荷重点、拘束点以外のキャビンをスーパーエレメント(SE)化して、フルFinite Element(フルFE)に対する計算コスト削減効果を評価することで解決しました。
文末にあるデータをダウンロードして、この例題を実際にお試しいただけます。
CMSスーパーエレメントとは?
- コンポーネントの内部節点(不要点)を消去し、剛性、質量等を外点に集約
- モーダル縮退と静的縮退の混合
-モーダル縮退: 固有値解析からモーダル自由度へ変換可能で、質量近似を補完
-静的縮退: 剛性(静的)方程式から導出され、静解析では誤差がない - 外点は拘束をCraig-Bampton法、自由をCraig-Chang法で扱う
CMSスーパーエレメントを使うことにより、解析時間の削減、構造/形状の秘匿、最適化、非線形計算の効率化が可能。
手順
SE設定(DMIG.pch作成) ↓ 設計領域の穴埋め ↓ 静解析実施 ↓ トポロジー最適化設定 ↓ 最適化結果比較 (フルFEとSE比較)
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設計領域の 穴埋め
解析条件
前後のダンパー取付点に荷重条件、拘束条件を設定し、曲げ、ねじり荷重を作用させる。
曲げ | ねじり | |
1 | SPC:3 | Fz: 600N |
2 | SPC:3 | SPC:3 |
3 | SPC:13 | SPC:13 |
4 | SPC:123 | SPC:123 |
5 | Fz: -5000N | - |
静解析結果 (曲げ、Z変位)
- フルFEとSE: 同じ結果
- 穴埋め前と穴埋め後: 荷重点変位が減少
静解析結果 (ねじり、Z変位)
- フルFEとSE: 同じ結果
- 穴埋め前と穴埋め後: 荷重点変位が減少
トポロジー最適化結果 (要素密度)
- フルFEとSEはほぼ同様の結果 (FEASIBLE DESIGNを確認)
- 計算時間はSE使用によりフルFEから60%削減
- 初期から18kg減少
まとめ
CMSスーパーエレメントを適用して、BIW全体に曲げ、ねじり荷重がかかる状態のエンジンルームの部材をトポロジー最適化し、フルFEとSEを比較した結果、トポロジー最適化結果はほぼ同等の結果 (初期から18kg減少)が得られ、計算時間はSE使用により60%削減した。


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