スポーツと物理学 – シミュレーションでケガの予測とプロテクターを設計

ボクシングのヘッドギアやグローブ、サッカーのすね当て、マラソンシューズのパッドなど、多くのスポーツで選手のケガを防ぐためのプロテクターが使われています。競技の競争が過熱する一方、スポーツ科学でも、傷害の性質を理解し、パフォーマンスを犠牲にしないプロテクターの設計のため、シミュレーションが台頭しています。

自動車メーカーが自動車の仮想衝突試験にダミーモデルを使用するのと同様に、スポーツ科学でも、強化された人間のシミュレーションモデルを使用して、スポーツ傷害、スポーツ安全、個人用防護具(PPE)の研究に役立てています。

これにより、正確な負荷条件と生体反応データを取得し、何千回ものテストシナリオを繰り返して、傷害負荷を軽減するようPPEを最適化できます。また、力が体内の組織や骨構造にどのように相互に影響するかなど、衝撃に対するアスリートの反応も把握できます。

自動車の乗員安全のための最先端技術であるシーメンス社のSimcenter MadymoTMは、多くのスポーツの衝撃研究にも使われています。スポーツ科学者は、この生体力学モデルを使用して、衝突の短期的 / 長期的な影響を調べ、ヘルメットやプロテクターを最適化したり、人工芝の摩擦を最適化して怪我のリスクを低減したりもしています。Altair製品のユーザーは、Altairパートナーアライアンスを通じてSimcenter Madymoにアクセスできます。

スポーツ物理学 - シミュレーションによるスポーツ傷害の予測と保護具の設計

Simcenter Madymoでシミュレーションしたサッカーのヘディングの生体力学と頭部の反応(出典:British Journal of Sports Medicine

ラフバラー大学のスポーツ技術研究所(STI)は、スポーツ産業における世界有数の研究グループであり、この種の研究グループとしては英国最大規模を誇ります。STIはAltair HyperWorksTMを用いて、人体シミュレーションモデルを作成し、運動時の衝撃をシミュレートしました。複雑な形状に対するメッシング性能は、この種の研究にとって重要な課題であり、メッシュの質はモデルの挙動と精度に大きく影響します。

スポーツ物理学 - シミュレーションによるスポーツ傷害の予測と保護具の設計

大腿骨のスキャン画像(左)とメッシュ化された大腿骨(右)

 

HyperWorksの有限要素(FE)モデリングを使用すると、物理的な人体ダミーを用いたテストでは詳細に測定できない多くの現象を測定できます。

スポーツによる衝撃のシナリオを考えると、形状の特徴(骨の突起など)や衝撃の場所の違いなどにより、局所的に高い応力や要素の変形が発生する部分が必然的に存在します。そのため、メッシュのバイアス処理が必要になることがあります。HyperWorksはこのような機能の制御に強く、メッシュの再調整がはるかに容易になり、繰り返し計算する作業も容易になります。

スポーツ物理学 - シミュレーションによるスポーツ傷害の予測と保護具の設計

Altair HyperWorksでボールが大腿部に衝突する様子をシミュレーション

STIでは、スポーツシューズ、テクニカルアパレル、防護具、ボール、バット、クラブ、ラケット、フィットネス機器などの幅広い研究を行っています。HyperWorksは、シミュレーション主導の開発サイクルに重要な役割を果たし、今後のFEモデルの開発に欠かせないツールです。

最新のシミュレーション技術の助けを借りて、アスリートたちはパフォーマンスを上げ、怪我のリスクを減らし、以前は考えられないほどにキャリアを伸ばしています。シミュレーションを用いて防護具の性能を設計・検証することで、競技者が次々と記録を破っているということは確かです。

*本記事は、米国本社の「Sports Physics: Using Simulation to Predict Sports Injury and Design Protective Gear」を翻訳したものです。

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カテゴリー: Innovation Intelligence Global, 事例

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