8. 安全性の証明
羽の積層ではUD材を用いた補強を行いましたが、シャシはドライバーシート、ホイールハウスなどを構造体の一部とすることで、高い剛性を保ちつつ最小限のスペースに収める構成にしました。
図8 衝突時の安全証明
ドライバーの安全は、最優先に確保する必要があります。モノコックフレームの構造体に対してドライバーを守る空間を搭乗者セルと定義して、衝突時の変形がドライバー空間内に侵入しない設計を行いました。
図9 解析結果(正面衝突)
図10 解析結果(側面衝突)
図11 解析結果(上面衝突)
側面衝突では左右のホイールハウスがモノコックの板材を変形するのを支える形状になっています。 計画した積層構成であれば衝突に対しては十分な強度、剛性を確保できたと言えます。
設計をするにあたって最も剛性が心配された羽でしたが、解析によって最適な箇所をUD材で補強したことで、結果的には最も変位の少ない結果となりました。この積層構成であればあらゆる方向からの衝突に対して十分な強度、剛性を確保できており、ドライバーに危険を及ぼすことのない安全な車両であることが証明できました。
図12 モノコックフレーム(ホワイトボデー)
最終的に完成したモノコックフレームが図12です。
次回は、「CFRPボデー製作」について解説します。
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