和泉先生(東京大学)インタビュー – AIツールとアルゴリズムの理解

アルテア製品は、企業だけでなく多くの教育現場においても多く活用されています。特に大学でのユーザー数が多いAI/機械学習プラットフォームAltair RapidMinerは、世界で5000以上の大学で活用され未来のエンジニア育成のサポートをしています。今年は、東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 和泉研究室の和泉潔先生に、アルテアのAI/機械学習プラットフォームAltair RapidMinerを授業の一環でご活用いただきました。今回は、その和泉先生にお話を伺いました。

東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 和泉研究室和泉先生とAI/機械学習プラットフォームAltair RapidMiner

― 実際に授業を終わってみて、ご感想を教えてください。

グラフィカルに操作するところはかなり反応が良かったなと感じました。私も少し一緒に触らせていただいて感じたのが、時間の制約がある中でも実際に自分で動かして結果が出てくるということを実感できるのは大きかったと思います。高校を卒業して18歳から20歳くらいの学生には、統計に詳しい学生もいれば、全然詳しくない学生もいましたが、グラフィカルにデータソースを変えたり、途中のプロセスを変えたりを非常に直感的に理解できるので、できた時に「おおっ」という反応がありました。

― 使ってみて難しさはありましたか? 先生の授業で、ノーコードの機械学習やAIソフトウェアを使ったことはありますか?

操作の難しさという点では、正直、人によりますね。何も言わなくてもスムーズに進める学生もいれば、考え込む学生もいました。コネクトさせる図の意味や変数を変える場合の直感的な理解について、理解するまで時間がかかる学生もいました。これはバックグラウンドの差というか、何を勉強してきたかによるもので、GUIに慣れている学生は直感的に理解できますが、統計的な知識の差よりも、GUIへの作法がわかっているかどうかが大きいですね。

AI Studio以前は統計の演習でRを使っていましたが、今回のように一日で結果が出るようなスピード感はありませんでした。Rではコードを書く必要がありましたが、今回のツールはスピード感が全然違いますね。Rを使った際には、結構多くの学生が演習の時間内ではついてこられないことがありました。コードを書くことが苦手な学生も多かったです。今回のツールでは、トライアンドエラーのスピード感が全然違います。深く込み入ったことに取り組む場合や、自分なりに処理を工夫するレベルなら、RやPythonの知識があった方がいいですが、ユーザーとしての使い勝手で言えば、今回のツールの方が大枠の理解が早いですね。

私は機械学習のアルゴリズムを学んでほしいので、プログラミングは最後でいいと思います。まずはアルゴリズムの理解、その後にプログラムでどう書かれているかを学べば良いと思っています。統計のGUIを使うことで、直感的に理解できる部分が大きいと思います。

― 先生のご意見として、弊社のツールはどの層に一番マッチすると思いますか?

データを扱う人文社会系、経済系、あるいは地理情報学や心理系の学生には非常に役立つと思います。また、ツールを使うことで最初のハードルが下がり、結果をすぐに得られる点が大きいですね。因果関係を理解するためのパッケージは、文系の学生や初心者にとっての最初のハードルを下げられるので非常に重要だと思います。ツールの利用によって、プログラムや統計の知識がなくても、簡単に結果を得られる点は魅力的ですね。アルゴリズムの理解という意味では、「やりたいことに関して、その元になるベースがいくつかある」ということが、すごくありがたいと思っています。なので、そこをベースにして、組み合わせてもう少し複雑なことができる。そのためのパッケージやテンプレートがある。そこがすごく強いと感じます。

結局それがないと、そもそも因果関係を理解するために、Pythonのパッケージやメソッドを調べるだけで日が暮れてしまう。初めて挑戦する人にとっては、その最初のハードルを下げる意味で大きな助けになると思います。

私は、人工知能学会の理事を最近まで務めていて、例えば高校生の情報教育で何を使ったらいいかという問い合わせも多く頂きました。今は情報が必修科目になっていますが、AIやデータサイエンスを教えるのに時間がかかる。リテラシーの話や、コードを教えるのに3週間かかることもあります。高校の必修に揃えて教えている学校もありますが、どこまで機械学習やアドバンスな話を入れるかは学校によって違います。教育方針や先生の習熟度にもよりますが、特に今はまだ始まったばかりなのでどのレベルで教えていくか試行錯誤しているところもあります。

他の科目と違って、AIのプログラミングができる、機械学習ができるなど、具体的なマテリアルがないところが多いです。情報の先生の中でも慣れている方は自分で調べてやっている人も多いですが、そうでないと難しいという差が生まれていると思います。

― どの高校で情報教育を学んでいたか、大学に入る時点である程度の差がついていると感じられますか?

情報の先生が慣れている場合、データサイエンスや機械学習の触りだけでも教えられているところは多くあります。それが自分で調べるきっかけになることも多いと思います。ただ、そうした機会がない情報のクラスでは、きっかけに出会うチャンスが減るので、この差は大きいと思います。生徒だけではどうにもできない部分もありますよね。学校の先生からは、「教えるべき内容は決まっているものの、生徒の知識や関心に合わせて、具体的にどうやって情報の知識を教えるのかを決めることがとても大変である」という声もあります。

本筋とはずれるかもしれませんが、結局、教える内容は同じでも、具体的な教え方は学校や先生の工夫に任されている。そうすると、普通の授業で差がついてしまう。いくつかの情報系の学会では、講義に使えそうなものを用意してあげられるように協力しています。例えば、人工知能学会では、中高で情報を教えている先生方のネットワークと一緒に協力して、コンピューターのコンペティションを高校生向けに開催したりしてサポートしています。

― 将来的には中学生や小学生も使う可能性が出てくると思いますが、こういうツールが広まることで便利になり、ツールを使うことでプログラミングの理解が進む一方で、ツールの中身を理解せずに使うことが増えると思います。AIというものがわからないまま使うことで、判断を誤るリスクがあるということについて、先生はどうお考えですか?

そのリスクは確かにあります。ツールが広がることは良いことですが、真偽がわからなくなるリスクも同時に考える必要があります。特にAIや機械学習の分野では、中身を理解せずに使うと誤った結果を導き出す可能性があります。ツールを使うことで便利になる一方で、その中身を理解し、適切に判断できるように教育することが重要です。難しいのですが、そのバランスを保つことが必要だと思います。例えば、AIツールを使って結果を得る場合、その結果がどのように導き出されたのかを理解していないと、正しい判断ができないことがあります。AIのアルゴリズムやパラメータを理解することで、もっと正確なディスカッションができるようになります。これが、AIツールのユーザーとしての最低限の知識が必要な理由です。

まずは試してみて、使ってみることが大切です。自分でパラメータを変えて、結果がどうなるかを確認することで、AIのアルゴリズムの癖や重要なポイントが見えてきます。これにより、AIツールの理解が深まり、正しい判断ができるようになります。今回のツールも、初めのハードルを下げるためのものです。平均的なユーザーがAIを使えるようになり、専門家とのコミュニケーションもスムーズになると考えています。AIツールを試し、使いこなすことで、誰もが最低限の知識を持ち、それ以上の専門的な部分はプロに任せるという健全なバランスが生まれるでしょう。AIが普及することで、AIツールを使える人と使えない人の格差が広がる可能性があります。しかし、ツールの使い方を試行錯誤しながら学ぶことで、この格差を埋めることができると考えています。AIツールの普及は、特に教育の現場で重要です。

― 最後に、今後のAI教育についての展望を教えてください。

AIやデータ分析のツールは、電卓やエクセルのように一般的なツールになるべきです。学生には、まず基本的な使い方を学び、その後で専門的な知識を深めることが重要です。これにより、AIツールの効果的な活用が可能になります。初めのハードルを下げ、試行錯誤できる環境を提供できれば、例えば、統計的因果推論のような難しい概念も、実際に試してみることが可能になり理解が深まります。これにより、学生たちは自らの経験を通じてAIツールを使いこなせるようになります。

AI教育は、ますます重要性を増していくでしょう。学生たちがAIを使いこなすためには、基本的な知識だけでなく、実際に使ってみる経験が必要です。これにより、AIツールを適切に活用し、将来的には専門家としてのスキルを身につけることができるでしょう。

***

今回、和泉先生には、アルテアのアカデミックプログラムのひとつ、アルテアクラスルーム(授業向け無償ライセンス)を通じて、Altair RapidMinerをご利用いただきました。アルテアは、未来のエンジニア、データサイエンティスト、デザイナーの育成にグローバルで取り組んでいます。

お問い合わせ:
アルテアエンジニアリング
アカデミックチーム
jp-academic@altair.com

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カテゴリー: データアナリティクス, 学生支援

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