自動車や飛行機の部品を評価するとき、フリクション(摩擦)が大きな問題になることがあります。データを使ってビジネスを改善しようとするときも同様にフリクションが問題になるようです。データ分析におけるフリクションは、熱やきしみ音ではなく、プロジェクトの失敗や無駄なコスト、不要な作業につながります。
私たちはこれまで30年にわたりデータ分析ソリューションの導入に取り組んできましたが、部門や人材間の組織的なフリクション、ツールやベンダー間の技術的なフリクション、そして願望と現実の間の財務的なフリクションが存在することがわかりました。組織内におけるこれらのフリクションは3つとも存在する場合が多く、その場合、87%のデータ分析プロジェクトはうまくいきません。
データ分析におけるフリクションとは何でしょうか。それは、次のようなことを意味します。
- データ専門家と領域専門家の間のコミュニケーションギャップ
- データへのアクセス権限に関する知識の欠如や煩雑な手続き
- 不完全なデータ、乱雑なデータ、不完全なフォーマットのデータ
- パイプラインや機械学習(ML)モデルを実行する場所やその展開方法
- 社内のデータサイエンティストと導入されたデータ分析ツール間にあるスキルの断絶
- 常に変化するツールやインフラに起因する不確実性や繰り返されるプロジェクトの見直し
このような大きな課題には、組織的な教育、技術促進、慎重な検討など、全体的な解決策が必要です。
だからこそ、アルテアとRapidMiner社の統合は非常に強力です。RapidMinerは、世界トップクラスの高度なデータ解析プラットフォームと、業界をリードするCoE(Center of Excellence)プログラムを提供し、組織のデータ解析の変革を実現します。一方アルテアは、規模、確立されたデータ解析ビジネス、独自のテクノロジー、革新的で特許取得済みのAltair Unitsソフトウェアライセンスモデルを提供します。両社が力を合わせることで、データ分析プロジェクトを成功させるために必要な技術の導入と組織の合理化を提供可能になります。
アルテアとRapidMinerにより、データ解析プロジェクトの実行を妨げる3つのフリクションを解消できます。
- センターオブエクセレンス(CoE)プログラム
すべてはCoEプログラムから始まります。これは、データが未熟な組織がデータに精通した組織に変身するためのプロセスです。最優先のユースケースに取り組む方法を特定し、ビジネスチームがデータ分析の問題に自ら取り組めるようスキルアップし、ビジネスアナリストからデータサイエンティストまで問題に適したツールを使用できるようトレーニングします。
CoEとの連携が完了すれば、データ分析プロジェクトをいくつか実施するうちに成功を収め、将来に備えることができます。RapidMinerの買収後、アルテアはデータアナリティクスのカスタマーサクセス部門にCoEを採用しましたが、これにより提供できるビジネスとチームのキャパシティが5倍以上に拡大しました。
「目標と、目標達成に必要なスキル間のギャップ」というデータ解析プロジェクト開始時の最大のフリクションにも対応しています。実施したいプロジェクトをすべて達成するためのデータサイエンティスト、データエンジニア、データアナリストの数は、世界的に不足しています。これらの人々は通常、ビジネス上の問題にはあまり深く関与していないため、プロジェクトを引き受けたとしても、評価や問題解決の段階で長引いたり、時には完全に頓挫してしまったりすることもあります。
CoEは、ビジネス担当者がデータ分析に自ら取り組めるようにトレーニングするため、データサイエンティストやデータエンジニアを何十人も新たに増員する必要はありません。すでに在籍中のデータサイエンティストやデータエンジニアは、これまで以上に難しい課題に集中できるようになります。
- RapidMinerプラットフォーム
RapidMinerプラットフォームは、組織の教育や変革とともにデータ分析プロセスを加速させ、将来の成功を確かなものにします。
RapidMinerプラットフォームは、クラウドネイティブのエンドツーエンド、マルチペルソナ分析プラットフォームで、企業規模でのデータ分析プロジェクトを加速します。組織内の誰もがデータに接続し、変換、自動化、機械学習モデルの構築、それらのモデルを本番環境に導入でき、毎日使用するデータ分析アプリケーションを構築できるようにします。
ビッグデータにもスモールデータにも対応する数多くのコネクタをもつRapidMinerプラットフォームが解消するフリクションの最も基本的なものは、ユーザーとデータ間のギャップです。データ分析プロセスの各ステージをプラットフォーム内で段階的に実行できるため、大規模で多面的なチームだけでなく、一人だけのチームにも力を与えます。さらに、データ分析の力を、問題を最もよく理解している人の手に委ねることができるため、データの専門家と業務の専門家の間でフリクションが生じることはありません。これは、コーディングの専門知識のレベルに関係なく、あらゆるスキルレベルのユーザーのためのツールセットを備えているので可能なことで、初級者にはAuto MLによるノーコード機能、中級者にはワークフロービルダーによるコードオプション機能、そして上級者にはフルコード機能をサポートし、ユーザーは必要に応じてこれらのモードの間をシームレスに移動できます。
RapidMinerプラットフォームは、将来にわたって存続するデータ分析エコシステムを確立するために必要なインフラの変化や、その複雑さにも対応し、アルテアがこれまで提供してきたオンプレミス、クラウド、ハイブリッドセットアップ、さらにはパッケージアプライアンスとしてRapidMinerプラットフォームでも利用可能です。
RapidMinerは、SAS言語とPythonやRなどのオープンツール群をつなぐSAS言語コンパイラおよびランタイムAltair SLCと統合し、既存のデータ分析エコシステムと最新のオープンツールとの間のフリクションを克服できるようになります。
- Altair Unitsのビジネスモデル
最後は、アルテアが特許を取得した、ソフトウェアライセンスモデルAltair Unitsです。Altair Unitsは、トークンをベースにした非消費型のモデルで、トークンは人から人へ、また、あるアルテア製品から別の製品へと移動させることが可能です。つまり、73の異なる製品を購入するのではなく、同時使用数や”帯域幅”に応じたトークンを購入し、製品全体にアクセスするものです。これには、アルテアパートナーアライアンスに加盟している60以上のサードパーティ製ソフトウェアへのアクセスも含まれます。
つまり、企業内のさまざまな部署のさまざまなチームが、同じAltair Unitsプールを利用することができ、一人のユーザーが複数のアルテア製品を順番に使用することも可能で、個別にライセンスを購入する必要はないということです。
Altair Unitsでは、データ解析の頭痛の種である数十のベンダーから数十のライセンスを管理するというフリクションも解消されます。また、同時使用に基づいているため、エンタープライズソフトウェアエコシステム全体の費用対効果も格段に向上します。
まとめ
CoE、RapidMinerプラットフォーム、Altair Unitsを利用すれば、データ分析が容易かつ自然な形でビジネスの一部になります。どんなに複雑で厄介なデータであっても、すべての人が簡単にデータからインサイトを見出すことができます。データ分析プロジェクトを完了させるのに必要な組織的、技術的抵抗を排除し、最初のデータ分析のアイデアから実際の使用、ビジネスインパクトに至るまで、明確な道筋を描けるようになります。クラウドベンダー、データウェアハウス、分析ツール、プログラミング言語が変わっても、すべてのデータチームが前進し続けなければなりませんが、アルテアの専門知識、プラットフォーム、ビジネスモデルは、データの成功のための触媒であり、不確実性の中での明瞭さ、変化の中での一貫性、サイロの中でのコラボレーションを提供します。
アルテアとRapidMinerの統合は、「フリクションレスAI」を意味します。つまり、ユーザーとデータの間の技術的な摩擦も、データエキスパートとドメインエキスパートの間の組織的な摩擦も、効果的な意思決定のためのデータアプリケーション設計と本番環境でのワークフローの摩擦も、インフラやツールが変わったときの移行の摩擦もない、ということなのです。データ分析プロジェクトを素早く、再現性高く、成功させましょう。
※本記事は、Altair「Frictionless AI for Every Person and Every Enterprise」を翻訳したものです
カテゴリー: データアナリティクス