2年に1度、世界中から選りすぐりの大学の学生チームが集まり、ソーラーカーでレースを行う「Bridgestone World Solar Challenge(ブリヂストン ワールドソーラーチャレンジ: BWSC)」。オーストラリアのアデレードから始まる全長3021kmのコースに、ソーラーカーを愛する人々が終結します。6平方メートル以下のソーラーパネルを搭載した若さ溢れるチームは、効率性と持続可能なエネルギーを組み合わせることの意味を見せてくれます。
2019年の世界チャンピオン、Agoria Solar Teamもその一つです。ベルギー・ルーヴェン大学の学生19名で編成され、約15カ月かけて太陽エネルギーだけで動く自動車を完成させました。その最新モデル「BluePoint」が国際大会へ参加するのは、今回で8回目となります。

ベルギーの学生たちが15ヵ月かけてクルマを完成させる
自然原理とイノベーションの相乗効果で最適な内部構造を実現
最も難しい課題の一つは、可能な限り効率的なデザインを決定することです。特に難題だったのは、「一定の剛性を維持しながら車の構造をできるだけ軽くしたい」という複合材エンジニアの課題でしたが、学生たちは「Altairのシミュレーションツールを使えば最適なソリューションを見つけられるはず」と感じていました。
はじめに、エネルギー効率に大きく影響する空気抵抗を可能な限り低減するよう、空力エンジニアがクルマの基本形状を設計しました。その後、複合材エンジニアが機械や電気のシステムが収まるような内部構造を設計します。それから、与えられた制約や安全対策を満たすよう、十分な剛性と強度を確保しつつ可能な限りの軽量化を行います。
チームはAltairのシミュレーションツールを使い、車両のカーボン構造を最適化し、全体の重量を135kgに減らすことができ、BluePointはベルギー製ソーラーカーの中で最軽量となりました。

4平方メートルのソーラーパネルを搭載したBluePoint
勝利に向け、軽さと効率性を携えて
この設計プロセスでは、プリプロセスにAltair HyperMeshTM、構造解析・最適化にAltair OptiStructTM、ポストプロセスにAltair HyperViewTMを使用しています。形状に基づいて個々の層の形状を定義できるプライエンティティや、複合部品の積層順序を定義するのに役立つラミネートエンティティなど、複雑な複合構造のための高度でユニークな機能が学生に好評でした。

複合材応力シミュレーションの結果
信頼性を重視したチームのレース戦略が功を奏しました。レースは接戦となりましたが、最終日2日前に43分のタイム差を覆し、ついに優勝を果たしました。
チームマネージャーのWillem-Jan Claes氏は次のように述べています。「このレースの世界チャンピオンになれたなんて、本当に信じられません。この素晴らしい結果に繋がった最適なカーボン構造の設計にAltairのソリューションが大きく貢献してくれました。今後の大会に向けたBluePointソーラーカーの設計とさらなる最適化にも使っていく予定です」
Altairの構造解析・最適化ツールの詳細については、こちらをご覧ください。

BWSCの優勝を喜ぶLeuven大学のソーラーチーム
*本記事は、Altair Universityに投稿された「Fastest Under the Sun: Solar Team Leuven Wins World Solar Challenge」を翻訳したものです。
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