9月14日、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)様の技術本館にて、第5回Altair Enlighten Awardモジュール部門賞のトロフィー授与式が行われました。国内初受賞です。 >> プレスリリース
開発、設計、材料、試作、量産に携わった各部門の代表者にお集まりいただき、アルテアエンジニアリング株式会社(以下、Altair) 代表取締役 社長 綾目正朋よりトロフィーを授与しました。
7月31日にミシガン州トラバース市で開催された2017年度CAR Management Briefing Seminars(MBS)にてトヨタ北米R&D部門のJP Flaharty氏に授与されたトロフィーは、「現場で実際に開発に携わった人たちに渡るべき」ということから海を渡り、Altairの東京本社に到着しました。到着したトロフィーはアメリカ式なのか想像以上に重く、持ち運ぶためのケースを探し回ることになりました。
受賞したのは、Lexus LC500のサイドドアおよびラゲッジドアと、PRIUS PRIME(日本名プリウスPHV)のリフトゲートです。何れも、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製インナーパネルと、それぞれアルミニウム・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)・ポリプロピレン製アウターパネルを組み合わせることで、従来の金属構造部品から大きな軽量化を達成しました。また、CFRPを多く取り入れることで、軽量化だけでなく、運転席からの視野を広げ、金属では作ることのできなかった曲線的でスタイリッシュな外観も実現しました。Lexus LC500のテールランプ周辺の未来的な形状などがまさにそれです。さらに、量産に対応可能な生産サイクルへ短縮するため、独自の立体成形工法の開発にも成功しました。1度のスタンピングで、リフトゲートほど大きな形状を立体成形できるのは、トヨタの高い技術力があってこそです。
CFRPの使用で可能になった
Lexus LC500のテールランプ周辺の未来的なデザイン
今回の受賞ではクロージャーのみのエントリーでしたが、レクサスLCのルーフパネルにもCFRPが使われていて、CFRPの適用箇所が広がり続けていることを実感しました。
授与式の会場には、Lexus LC500のサイドドアとラゲッジドア、プリウスPHVのリフトゲートの実物が展示されており、実際に触らせていただきました。高いスタンピング技術で成形されたCFRPは想像よりずっと硬く、金属のようにも見えました。その後、開発のお話を聞かせていただいた後に改めて見ると、その黒い樹脂が苦労の結晶のように感じられました。
トヨタの有機材料技術部 有機材料室 主幹を務める浦山裕司様は、「クロージャーの開発から製品化に至る今回のプロジェクトは、非常にチャレンジングなものでした。これまでスポーツカーなどにしか使われてこなかったCFRPを量産車へ採用するというこの挑戦で、産みの苦しみを味わいました。関係者一丸となり、現地現物で改善を続けた結果、量産できるようになりましたが、この賞の受賞で苦労が報われた気がします。開発から製造まで、多くの力が結集して成し得た成果です。業務に関わったすべての人に感謝し、今後もより「もっといいクルマづくり」のためにチャレンジをし、精進していきたいと思います」と、受賞の辞を語ってくださいました。
浦山様の表情は、このプロジェクトが非常に困難であったことを物語っており、何度か語られた『チャレンジ』という言葉からは、現場で開発に挑む方々の情熱とプライドが伝わってきました。と同時に、豊田章男社長が日頃から口にされている『もっといいクルマづくりのためのチャレンジしやすい環境づくり』が現場に生きていることを感じました。
これからこのチームがどんなチャレンジをして、どんなクルマが登場するのかと想像するとワクワクします。そして、Altairがその困難なチャレンジの荷を少しでも軽くできたらと、願わずにはいられません。
これまでは日本企業のエントリーが少なく、海外企業の受賞ばかりが目立ってきましたが、高い技術力とチーム力を持つ日本企業のエントリーが増えれば、受賞企業に日本企業が名を連ねるのは間違いありません。エントリーのお手伝いもしていますので、興味がございましたら是非お問い合わせください。

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