リモコンキーの範囲を広げる裏技

身近な科学検証シリーズ

大型ショッピングモールやコンサート会場、スポーツ観戦から駐車場へ戻り、自分の車の場所が分からない、という状況に陥ったことはないでしょうか。

身近な科学検証シリーズ - リモコンキーの範囲を広げる裏技
車の間を歩き回り、片っ端からリモコンキーを押していたみなさん、自分の車を見つける確率を上げる裏技があります。その裏技とは、リモコンを頭に当てリモコンキーの到達範囲を広げることです。

疑り深い方のために、この裏技に本当に効果があるのか、物理学ベースのシミュレーションソフトで検証してみました。

この理論では、自分の頭をアンテナのように使うことで、電波の到達距離を延長できると言われています。自分の頭には、信号の伝導体となる液体が満たされており、その液体に静電容量方式で信号を結合させるのです。これが本当なら、車2~3台分くらいは電波の届く距離が伸びるはずです。

電磁界シミュレーションソフトウェアAltair Feko™使用して、リモートキーレスエントリー(RKE)信号のみ、「頭から離して持つ」と「頭部に当てて持つ」を比較することで、この理論を検証してみます。シミュレーションに使用したRKEのサンプルは、周波数315MHz、FR4基板で、小さな「ループ」とその他の部品やプリント基板のトレースを表すパッチ部分から構成されています。

身近な科学検証シリーズ - リモコンキーの範囲を広げる裏技

リモートキーレスエントリーモデル

まず基準点を設定するために、人体模型を使わずに、アスファルトの地面から一般的な高さに置かれたリモコンの信号をシミュレートしました。

身近な科学検証シリーズ - リモコンキーの範囲を広げる裏技

人体モデルなしのベースラインRKE信号

次に、多関節型の人体モデルを使って上の実験と同じ高さで、RKEを腕を伸ばして持ち、再び電磁波シミュレーションを行いました。シミュレーションの結果、人体モデルがあるほうが射程距離が伸びたほか、より指向性が高いパターンになり、RKEのターゲットに向かう前方方向の実現ゲインが増加することが分かりました。

身近な科学検証シリーズ - リモコンキーの範囲を広げる裏技

RKEを拡張アームに装着した場合のベースラインとの比較で実現した信号利得

最後に、モデルの腕を曲げてRKEを頭に当て、シミュレーションを行います。ここでも、前方方向の実現ゲインが増加し、全体の信号範囲も広がっています。

身近な科学検証シリーズ - リモコンキーの範囲を広げる裏技

RKEを頭部付近の手に装着した場合の実現信号利得(ベースラインと腕を伸ばした場合との比較)

図の示す通り、リモコンキーを頭に近づけると特定の方向で利得が増加し、到達距離が伸びることがわかります。この裏技の効果が実証されました。

駐車した場所を思い出せないときは、ぜひこの裏技を使ってみてください。

アンテナ設計、配置、電磁両立性のためのシミュレーション活用については、アンテナ設置性能の最適化(電子システム設計ウェビナーシリーズ)をご覧ください。

身近な科学検証シリーズ

*本ブログは、本社ブログ「Digital Debunking: Using Your Head to Extend Your Car Remote Range」を翻訳したものです。

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カテゴリー: Altair Global Blog, 身近な科学検証

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