ヘキサメッシングの極意

この記事は、2019年5月23日に投稿された米国本社のブログ記事を翻訳したものです。

CAD(Computer Aided Design)の形状がより詳細になるにつれ、これらの特徴を表すための有限要素モデルの作製には、ますます多くの時間と経験が必要になってきます。四面体(テトラ)メッシュは、高速かつロバストに特徴的な形状を離散化できるため、多く用いられます(例:数百のフィレット)。しかし、構造解析では、四面体要素を使用すると、許容範囲を超える確率の誤差で「硬い」結果になることがあります。例えば、モーダル解析では、予想以上に高い周波数が得られることがあります。この問題を解決するには、メッシュを細分化して高次の四面体要素を使用しますが、これには解析時間と計算リソースの増加を伴います。

モデルを離散化するもう一つの有名な方法は「ヘキサメッシング」で、ソリッドメッシングやマップメッシング、六面体メッシングとも呼ばれています。一定の要素サイズであれば、剛性の問題がなく、解答時間が短く、誤差の少ない結果を得ることができるのが特徴です。しかし、ヘキサメッシングは、処理の自動化が進んでいるにもかかわらず、四面体メッシングのような自動化のレベルには達しておらず、ユーザーの経験に大きく依存した「アート」としての側面が大きいのです。

とはいえ、ヘキサメッシングには、次のようなコツがあります。

  • ヘキサメッシングの基本ルールを頭に入れておく
  • 一般的なヒントとコツを守る
  • Altair HyperWorks™の強力なツールを利用する

ヘキサメッシングの鉄則

  1. ソリッド形状のマッピング元のフェイスとマッピング先のフェイスが対向していること
  2. 複数のフェイスが1つのフェイスにマップされることもあること
  3. メッシュがドラッグされる方向に反するような特徴部が無いこと
図1 ヘキサメッシングの鉄則

図1 ヘキサメッシングの鉄則

 

モデルをよりシンプルな(ひとつながりの)形状にすると、この3つの「鉄則」を満たすことが難しくなります。またモデルのある部分を編集すると、トポロジーの特徴が出てきて、かつてマッピング可能だった部分がマッピング不可能になってしまうことがあります。このような事情に対して、プロセスやツールが役に立ちます。

マッピングが可能なソリッド形状の可視化

トポロジーの可視化と同様に、Altair HyperWorks ™ではマッピング可能なソリッドに特化した可視化が可能です。この便利な機能は、ソリッドがどのようにマッピング可能かを解釈し、次にどのようなステップを踏むべきかを、色分けと透明度によって示します。

  • 青色:編集が必要(例:フィーチャーの削除)
  • オレンジ:領域分けが必要
  • 黄色:一方向へのマッピングが可能
  • 緑:理想的な色で、どの方向にもマッピング可能
図2 マッピング可能なソリッドの色分け

図2 マッピング可能なソリッドの色分け

 

 HyperWorksで形状の領域を分ける

マッピング可能なセクションを生成するためには、形状の領域分割が必要となります。HyperWorksの以下の機能や手順で可能となります。

  1. 手順: 想定される製造工程の一部であるフィレットなど(図3)、対象外の不要なフィーチャーをすべて除去します。

    図3 製造フィーチャー除去の検討

    図3 製造フィーチャー除去の検討

  2. 手順:潜水艦の船体のようにモデルが左右対称の場合、対称面を中心にモデルを分割してメッシュをマッピングし、そのメッシュをコピーして反映させてモデル全体を生成します(図4)。

    図4:対称性を適用するのに適したモデルの一例

    図4 対称性を適用するのに適したモデルの一例

  3. 手順:領域分けを通して、モデルは進捗度を示す異なる名前で保存されることがあります。あるアプローチでは上手くいかなかった場合、以前のモデルを出発点として使用することができます。これにより、コンピュータの不具合や停電によって、一日の労力が無駄になることを防ぐことができます。
  4. 手順:モデルのネイティブなトポロジーを利用するだけでは、モデルをマッピング可能な形状に完全に分割できない場合があります。このような場合は追加のサーフェスやラインを生成してモデルを編集し、適切な名前を付けてセパレーターの「コレクター」に保存できます。

    図5作成したサーフェスを使った領域分割

    図5 作成したサーフェスを使った領域分割

  5. 機能:編集するフィーチャーに応じて、[プリファレンス] > [Geometryオプション]クリーンアップトレランスを調整します。許容値を小さくすると、非常に細かい編集が可能になりますが、追加のトポロジーが発生する可能性があります。許容値を大きくすると、非常に小さなトポロジーのフィーチャーを潰して一つにまとめることができます。この知識を応用すれば、領域分割を手早く進められます。
  6. 機能:HyperWorksは“By 3D Topo”および“Mappable”など視覚化を切り替えることができます。形状を分割するプロセスでは、Mappableのみを使用することがよくありますが、他の視覚化を使用すると、モデル内のフィーチャーに対する優れた洞察力が得られ、編集がモデルに与える影響を確認できます。
  7. 機能:形状をHyperWorksにインポートする際、複数のソリッドが認識されても、その共有サーフェスが認識されないことがよくあります。これらの形状をブーリアン演算して共有サーフェスを認識させることで、作業時間を短縮できます。使用するツールはジオメトリ > ブーリアン > 結合です。

    図6:ブーリアン演算を使って共有サーフェスのトポロジーを素早く更新する

    図6 ブーリアン演算を使って共有サーフェスのトポロジーを素早く更新する

  8. 機能:便利なのに見落とされがちな機能が、HyperWorksのカスタムページの作成HyperWorksのカスタムページの作成です。領域分割は非常に反復的な作業で、使用する機能はわずか6個程度ですが、それらの機能をカスタムページにドラッグアンドドロップで登録するだけで、素早くアクセスできるようになり入力作業と時間を大幅に削減できます。
  9. 機能:ショートカットキーを知っていれば、入力作業(キーボードやマウスのクリックなど)を減らすことができます。一覧はHyperWorksのドキュメントで “HyperWorks Desktop Keyboard Functions”を検索すると見つかります。例えば、アンドゥ(CTRL + Z)はよく知られたキーボードの組み合わせで、ジオメトリ編集時に役立ちます。また選択エンティティをショートカットで指定することもできます。

HyperWorksを使ったヘキサメッシング

ヘキサのメッシングには、次のような手順や機能が役立ちます。

  1. 手順:モデルの形状をしっかり理解して、メッシュのマッピングを計画してください。始める場所によって、同じ結果が得られるとは限りません。
  2. 手順:最小のフィーチャーを基準にして要素サイズを選択します(図7)。この要素サイズは、モデル全体に適用されます。適切なサイズを使用することで、要素の品質と数を向上させることができます。

    図7:最小領域に基づいて要素サイズを選択する

    図7 最小領域に基づいて要素サイズを選択する

  3. 手順:フィレットや重要な曲面など、より複雑な形状からヘキサメッシングを始めます。
  4. 手順:ヘキサ用の2Dメッシュを作成する際には、四角形メッシュのみの場合、外周の要素数は偶数である必要があります。また、構造化メッシュを生成するには、対向する辺の接点数が同じでなければなりません。
  5. 手順:1つの分割領域ごとにヘキサメッシュを作成する場合、各マッピング後に、要素 > 自動品質チェックの手順でメッシュの品質が目的の基準を満たしているかを確認してください。
  6. 機能:ジオメトリ > 分割 ジオメトリ > ステッチでトポロジーを追加・除去すると、HyperWorksがボリュームをマッピング可能と認識しやすくなります(図8)。

    図8:マッピングを助けるトポロジーの追加

    図8 マッピングを助けるトポロジーの追加

  7. 機能:マッピング可能なソリッドがマッピング可能として表示されていない場合、手動でマッピング可否の更新を実行することができます。メッシュ > ヘキサ
  8. 機能:「マッピング可能」の表示は、ソリッドごとに行われます。言い換えれば、モデルの分割領域がマッピング可能として表示されたからといって、必ずしも追加の編集が必要にならないとは限りません。メッシュ > ヘキサ もしくは メッシュ > Solid Mapを実行して、モデルがマッピング可能かどうかを判断します。
  9. 機能:マッピング機能を使って分割領域全体のメッシュを素早く生成することができるため、マッピング可能なモデルを取得することが望ましいですが、絶対に必要というわけではありません。また、メッシュ > ヘキサ もしくは メッシュ > Solid Map を使って、ユーザーの入力を追加することで、個々の分割領域のメッシュをマッピングすることもできます。
  10. 機能:ヘキサのメッシングパネルには、警告メッセージやヒントがありますが、よくあるのが “Sequencing Error”です。これは、HyperWorksがソリッドを順にメッシングするために、追加の分割領域が必要であることを意味しています。
  11. 機能:対称断面からフルモデルを生成するためにメッシュを複製と鏡面コピーする際には、必ず検証 > フェイス から最小要素サイズ以下のトレランスで節点の接続性を確認してください。

 

HyperWorks搭載のHyperMorphによる微調整

モデルの再設計(設計変更)は、性能の結果や要求が成熟するにつれ、製品開発の不可欠な要素となります。これは、複数のモデルをメッシュ化する必要があることを意味します。長時間かけてヘキサメッシングしたとしても、設計者はモデルのフィレット、穴径、板厚をすぐに修正できるので、再設計は頭痛の種です。

HyperMorphは、このような比較的小さな調整の際のヘキサメッシングの隠れた名脇役です。HyperMorphは、節点の移動を可能にします。移動がローカル要素を介して補間されるため、要素の品質は維持されます。HyperMorphは、設計のやり直しだけでなく、コンポーネントの厚さを変更して性能にどのような影響があるかを確認するなど、デザインの探求にも役立ちます。Altair Oneでは、HyperMorphの機能に関する追加リソース(チュートリアルなど)を提供しており、HyperMorphがメッシングをどのように支援するかなどを資料として提供しています。

おわりに

ヘキサメッシングは、解の質、計算時間、計算リソースの面で優れているため、モデルを離散化するための重要なアプローチであり続けています。 今回紹介したプロセスやヒント、そしてHyperWorksの強力な機能を活用することで、ヘキサメッシングをより構造的で親しみやすい技術と捉えていただけると幸いです。

 


 

Altair HyperWorksは、HyperMeshの全プリポスト機能と、HyperView、HyperGraphなどの各アプリケーション機能を統合した新しいプリポストプラットフォームです。すべてのアプリケーションが1つのUXに統合されたことで、NVH、衝突、CFD、製造などの高度なソリューションを実行する際に様々な領域の専門知識やAI機能を利用できるようになりました。

Altair HyperWorksについて

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