永久磁石同期モーター(Synchronous Motor)の基礎理論

永久磁石を使用した同期モーターは、高性能の希土類磁石を使用しており、小さくても高い出力が期待できます。そのため、大きなトルクを必要とする分野、特に輸送分野(自動車、電車など)のトラクションモーター用途に多く使用されます。また、効率が高く、省エネ次元でも非常に脚光を浴びています。

同期モーターの駆動原理については、以下の動画が分かりやすいです。
https://youtu.be/Vk2jDXxZIhs(自動翻訳字幕あり)

SPMSMとIPMSM

同期モーターは、回転子の種類によって大きく2種類に分類できます。

  1. 表面付着永久磁石同期モーター(Surface mounted Permanent Magnet Synchronous Motor, SPMSM)
  2. 埋め込み型永久磁石同期モーター(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor、IPMSM)
  • SPMSM
    SPMSM
  • IPMSM
    IPMSM

SPMSMは回転子の表面に永久磁石を取り付けた構造です。IPMSMは、永久磁石を回転子の内部に挿入した構造です。

IPMSMはdq軸のインダクタンス偏差によって発生するリラクタンストルクを使用することができ、SPMSMに比べて大きなトルクを出力できますが、代わりにリラクタンストルクのトルク脈動による振動が発生します。また、同じサイズでSPMSMよりも多くの永久磁石を使用できるため、出力が高くなります。

SPMSMはIPMSMと比較して振動が少なく、製造が容易ですが、出力は比較的低いです。

逆起電力と入力電流

同期モーターの回路を開放(電源X)した状態で回転子を強制的に回転させると、モーターの三相巻線で電圧が発生します。この発生電圧を逆起電力(EMF: electric motive force)といいます。発電機とモーターはほぼ同じ構造であり、発電機を回転させるときに発生する電圧がまさにこの逆起電力です。

同期モーターを解釈するとき、最も重要なのは逆起電力と入力電流の位相を合わせなければならないことです。

下の図は同期モーターの三相逆起電力と、入力電流を示しています。ここで実線は逆起電力、点線は入力電流です。

SPMSMは、逆起電力と入力電流の位相が同相のときに最大トルクが発生します。ただし、IPMSMは最大トルクを生み出すために入力電流の位相を遅らせます。

dq電流特性

三相同期モーターに入力する電流は三相正弦波です。

三相正弦波電流を直角座標系で表現すると、回転する電流ベクトルになります。この電流ベクトルは、回転子の回転速度、すなわち入力電流の周波数と同じ周波数で回転します。


電流ベクトル(左)三相正弦波電流(右)

このとき、座標系自体を回転子と同じ速度で回転させると、回転する座標系上で電流ベクトルは固定されたように見えます。回転座標系の2つの軸はそれぞれd軸-q軸です。これにより、三相正弦波入力電流Ia、Ib、IcをDC電流であるId、Iqに変換することができます。

このようにモーターの入力電流をId、Iqで表現する理由はいくつかあります。1つ目はモーター制御が簡単になるという利点があり、2つ目はId-Iq座標上で様々なモーターの特性を表現できることです。

下の図は、Id-Iq座標上で同一トルク曲線、MTPA動作点、電流制限線、電圧制限線などを示したものです。このように設計したいモーターの様々な特性を一目で把握しやすいです。

これまで永久磁石同期モーターのいくつかの特徴をお話しました。他にも様々な基礎理論がありますが、今後FluxMotor解析を一緒に動かしながら必要な内容を解説します。

次回は、FluxMotorを使ったIPMSMの特性解析です。

>> FluxMotorの製品情報

*本ブログは、Altair Koreaのブログ「제1편 – 영구자석 동기전동기 (Synchronous Motor) – Basic Theory」を翻訳したものです。

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カテゴリー: Altair Global Blog, 届け!電波解析

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