EVモータの最適設計を実現する、e-Motorデザインワークフロー

近年、環境問題へのさらなる関心を背景に、電気自動車(Electric Vehicle、以下EV)への機運はますます高まっています。また、コストパフォーマンスや加速性能、静音性などの機能的な優位性もEVに対するモチベーションとなっています。

EVがこれまでのクルマと特に大きく異なるのは、動力源がエンジンからモータへと変わることです。エンジン開発において軽量化や振動の低減、熱設計などの性能向上・コスト低減がなされてきたように、モータ開発においても、消費電力、トルク特性、熱問題などの課題に対して性能向上・コスト低減が期待されています。しかし、エンジンがそうであったように、複数の領域・現象に渡る特性を同時に満足させるような最適設計を人の力で見つけることは、各特性がトレードオフの関係(剛性が高い ⇔ 重い/ 高額、など)にある状況においては非常に困難です(図1)。

モータの性能要件の検証を試作によるトライ&エラーで、複数の設計案に対し実施していては、開発期間、コストともに増加してしまいます。開発期間の短縮と開発コストの低減もまた重要な課題です。

本稿では、モータの開発における試作の削減および繰り返し工数の低減に有効なシミュレーションと最適化を駆使したモータの評価・検証のためのアプローチ、e-Motorデザインワークフローをご紹介します。

製品設計におけるトレードオフ 図1. 製品設計におけるトレードオフ

1. e-Motorデザインワークフロー

e-Motorデザインワークフローとは、①モータで利用する磁石の形状、配置、材質の組み合わせを選定し設計の大枠を決めるコンセプト設計、②想定条件下における試験とその結果の分析をベースとした詳細設計、③実際にモータが稼働するシステムをモデル化して稼働テストを行うシステム組み込み試験をシミュレーションにより実施する一連のモータ設計プロセスです。アルテアエンジニアリングでは、e-Motorデザインワークフローに最適な最先端のソフトウェアを提供し、コスト低減、高性能化、および省エネルギー化の両立を支援しています。e-Motorデザインの各ステップは拡張性と互換性に優れ、いずれのステップも既存のワークフローに組み込むことができます。

e-Motorデザインワークフロー図2 . e-Motorデザインワークフロー

2. ① コンセプト設計(磁石の選定、配置)

モータ設計案の性能比較や効率マップおよび制御シミュレーションで利用するインダクタンスマップによる性能評価などを、設計の初期段階で手軽に実施したい場合は、専用ソフトのAltair FluxMotorが最適です。包括的なモータ性能評価ツールFluxMotorには、モータ要件の基本的な形状コンセプト、電気設定、磁石設定、巻き線設定などがテンプレート化(図3)されているほか、標準的な評価試験項目もテンプレート化されています。直観的な操作により、トルク対速度マップにおける電気特性や損失(図4)など、複数のモータ設計案に対する試験結果を容易に求めることができます。

磁石配置テンプレート図3. 磁石配置テンプレート

回転数に対する鉄損図4. 回転数に対する鉄損

さらに、汎用最適化ツールAltair HyperStudyと組み合わせれば、時間をかけずに設計の初期段階で、モータ形状諸元を設計変数とした最適化計算モデルを容易に構築することができます。

3. ② 詳細設計

コンセプト設計では、電気特性やトルク性能など、単一の物理場に対する最適解を求めましたが、モータ性能要件はそれだけではありません。例えば、強度、剛性、振動特性、熱特性などは、複数の物理現象を考慮した3Dモデルによる検証・評価が必要です。

統合CAE環境であるAltair HyperWorksでは、各種評価項目を同時に満足させる設計案を導出する一連の最適化プロセスを構築できます。HyperWorksは、構造、流体、電磁界など、様々な物理現象に対応したソルバーを擁しており、さらにそれらが組み合わさった複合物理場も含むあらゆるシミュレーションを実施することができます(図5)。

消費電力を抑えたらトルクが不足した、トルク性能に着目していたら熱の問題が発生したなど、モータ設計においては、複雑な現象がトレードオフの関係にあるため、複数の物理場に対するシミュレーションをベースとした最適化によるアプローチが特に有効です。

モータに関係する様々な物理場図5 モータに関係する様々な物理場

最適化によるアプローチを用いることで、トレードオフの関係にある各事象をバランシングした最適な設計に効率よく辿り着くことができます。

4. ③ システム組み込み試験

モータの仮想実稼働試験において、ドライブトレインやシャシーのすべてを3Dシミュレーションモデルに落とし込むのは現実的ではありません。一方、バッテリーやインバータなどモータへの電流入力のための機構とモータから発生する駆動力の伝達機構といったパワートレインだけに焦点を当てても、各サブシステムは相互に影響し合っているため、相互連成なしのモデル化は、システムテストとしては適切ではありません。このことから、実稼働試験をシミュレートするには、機械、機構、制御ロジック、電気回路、磁気回路、FEMモデルなどを相互に連成させることができる共通のプラットフォームの構築が重要となります。
相互に影響し合う複数の物理現象のモデル化も、複数のサブシステムからなる大規模なシステムのモデル化も、HyperWorksの1DシミュレーションツールAltair Activateを中核としたモデルベース開発ソリューションで容易に行うことができます(図6)。

EVパワートレイン1Dモデル図6. EVパワートレイン1Dモデル

まとめ

最適化を活用したEVモータ開発の効率化の取り組みは、特に、EV開発に積極的な欧州で盛んに行われ、すでにいくつもの成果が報告されています。これからのEVパワートレインの開発に、アルテアエンジニアリングの提供するe-Motorデザインワークフローを導入し、高効率、低コストで先進的なモータ開発を一緒に目指しませんか。

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カテゴリー: Tips

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